2004年11月21日(日)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】米国を訪問中の大野功統防衛庁長官は十九日昼(日本時間二十日未明)、国防総省で、ラムズフェルド国防長官と会談しました。大野長官は、自衛隊海外派兵の「本来任務」への格上げや武器輸出三原則緩和の検討を表明し、ラムズフェルド長官は高く評価しました。
大野長官は、来月初めにも策定する新たな「防衛計画の大綱」に合わせ、「自衛隊の国際協力活動は(現在の)『付随的任務』から『本来任務』に引き上げるよう努力している」と、海外派兵のいっそうの推進を表明。日米が共同技術研究を進めている「ミサイル防衛」(MD)システムについて、「開発・生産段階に入れば問題が出てくるので、日米安保体制の効果的運用として武器輸出三原則見直しを検討している」と述べ、憲法の平和原則に基づき武器輸出を全面禁止している「三原則」を緩和する方針を伝えました。
ラムズフェルド長官は「日本の防衛政策の見直しの方向は大変適切だ」と述べ、お墨付きを与えました。また、米国が先制攻撃戦略の迅速な発動態勢を構築するために進めている米軍再編に関し、「日米間で戦略や情勢認識を共有するのは大切だ」と強調。日米の役割分担の明確化や安全保障戦略の共有が重要との認識を示しました。
十二月十四日に期限が切れる自衛隊のイラク派兵について、大野長官は来年一月のイラク国民議会選挙の「成功」は「イラクが民主国家になる第一歩として重要」と述べ、延長を示唆。ラムズフェルド長官は「自衛隊の活動を高く評価している」と持ち上げました。