日本共産党

2004年11月27日(土)「しんぶん赤旗」

「三位一体改革」 政府・与党が「全体像」

義務教育費を8500億円削減

地方交付税カットへ


 政府・与党は二十六日、国・地方税財政の「三位一体改革」の「全体像」を決定しました。国民の暮らしと権利、国の責任の後退を招く国庫補助負担金の廃止・縮減(二〇〇五、〇六年度で二兆八千三百八十億円)と地方交付税削減の方向を明確にしました。


 焦点の一つとなっていた義務教育費国庫負担金は二〇〇五、〇六年度の二年間で八千五百億円程度削減。暫定措置として〇五年度分は半分の四千二百五十億円を削減するとしました。削減内容は来秋の中央教育審議会の答申を得て〇六年度に恒久措置を講ずるとしています。

 国民健康保険については都道府県負担を導入し、国庫負担金を七千億円程度削減。農水省、経産省、環境省など所管の補助金二千百億円を削減します。

 税源移譲額はこれら一兆七千六百億円と〇四年度分の六千五百六十億円と合わせて二兆四千百六十億円分を固めました。地方側は、〇四年度分の税源移譲額は含まないと主張していましたが、それは退けられました。目標の三兆円には届かないため、今後協議することになります。

 地方六団体が反発していた生活保護費の国庫負担削減の扱いは、国と地方の協議会を設けて来秋までに結論を出すとしました。児童扶養手当についても来秋まで結論をもちこしました。

 地方六団体が強く求めていた「地方交付税による確実な財源措置」については、「地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源を総額確保する」との表現が盛り込まれましたが、「歳出削減に引き続き努め」ると、削減の方向を明示しました。


市田書記局長が談話

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十六日、政府・与党が合意した「三位一体改革の全体像」について、次の談話を発表しました。

 一、本日、政府・与党が合意した「三位一体改革の全体像」は、「地方の権限拡大」の名で、福祉・教育などにたいする国の責任を後退させ、地方財政の削減をすすめるものであり、自治体が本来はたすべき住民福祉の増進の仕事を困難にするもので、認められない。

 一、「全体像」は、義務教育費国庫負担金を八千五百億円削減していくことを決めたが、これは、憲法が保障する国民がひとしく教育を受ける権利を財政面からあやうくするものである。生活保護費の国庫負担率引き下げについては結論を先送りしたものの、二〇〇五年中に検討するとしたことは重大である。

 一、とりわけ、地方交付税について、「歳出削減に努め」る、「地方財政計画の合理化」などをすすめるとして、〇五年度以降も削減していく方向が示されたことは、自治体の財政運営を一段ときびしくするものである。補助金廃止額に見合った税源移譲額となっていないうえに、交付税も削減されるのでは、国から地方への財源カットがすすむことになる。

 一、わが党は、公共事業などのムダなひも付き補助金こそ改革し、国民の生活と権利を保障する国庫負担金制度は堅持することを要求する。地方税財源の拡充、地方交付税の堅持・充実をもとめ、地方自治を真に前進させるために奮闘するものである。



 政府・与党合意の骨子

 【国庫補助負担金】

 ▽05、06年度に総額3兆円程度(2兆8380億円)削減

 ▽義務教育費を2年間で8500億円(05年度は暫定措置として4250億円)削減。来秋に中教審答申を得て恒久措置を講ずる

 ▽国民健康保険に都道府県負担を導入し、7000億円削減

 ▽生活保護費負担金と児童扶養手当の補助率見直しは、地方参加の協議機関で来秋に結論

 【税源移譲】

 ▽所得税から個人住民税へ、地方に2兆4160億円を移譲。所得税から個人住民税への移譲によって行い、個人住民税所得割の税率のフラット化を基本に実施

 【地方交付税】

 ▽地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保。あわせて歳出削減に引き続き努め、06年度以降も地方財政計画の合理化、透明化をすすめる、と05年度も削減の方向


 「三位一体改革」 小泉内閣が国と地方の税財政をめぐって進めている方針。(1)国庫補助負担金の廃止・縮減(2)税源移譲を含む税源配分の見直し(3)地方交付税の見直し―の三つを一体でおこなおうというものです。具体的には、(1)二〇〇四―〇六年度で四兆円規模の国庫補助負担金を廃止・削減する(2)削減した補助負担金の八割程度(約三兆円)を地方に移譲する(3)地方交付税は、財源保障機能を縮小し総額を抑制する―としています。

 義務教育費国庫負担制度 公立小中学校の教職員給与の二分の一を国が補助する制度。残り二分の一は都道府県が負担する。約七十万人の教職員が対象で、二○○四年度の国の予算額は二兆五千百二十八億円。




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