2004年11月30日(火)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の市田忠義書記局長は二十九日、国会内で定例の記者会見をおこない、会期延長問題や中山成彬文科相の発言問題などについてのべました。
市田氏は、十二月三日の会期末が迫った臨時国会について、イラク、「政治とカネ」などの重大問題について国会として責任を果たすために会期延長が必要だと強調しました。
市田氏は、悪法を成立させるための会期延長には反対だとした上で、「自衛隊のイラク派兵期限が十二月十四日で切れる。会期が十二月三日までとなると、ファルージャなどイラク全体がひどい状況になっているもとで、国会でまともな審議をせず、国会が閉じたまま内閣の判断だけで事がすすめられる可能性が強い」と指摘。「より本格的に真正面から議論する必要がある」とのべました。
また、自民党旧橋本派の一億円ヤミ献金事件でも、三十日に衆院政治倫理審査会で橋本龍太郎元首相の「弁明」が行われるものの、「これは非公開だ。一億円をもらったことも覚えていないという人が、非公開の席に出てきて真実の解明にはならない」と指摘。同派の元会計責任者の公判でも検察側が一億円のワイロ性にも言及しているとのべ、「国会が真相究明の責任を果たしていくという点では証人喚問はどうしても必要だ。そのために、会期延長を求めていく」とのべました。
市田氏は、中山成彬文科相が歴史教科書に関して、「従軍慰安婦とか強制連行とか、そういう言葉が減ってきて本当に良かった」とのべたことについて、「事実だとしたら、文科相として許すことのできないきわめて重大な発言だ」と厳しく批判しました。
市田氏は、「日本の軍隊が朝鮮や台湾などの人々を強制連行し、従軍慰安婦や強制労働をむりやりさせたことは歴史の事実だ」と指摘。「侵略戦争への反省は戦後日本の出発点であり、アジアや世界の人々にたいする国際的な責務だ」とのべ、「事実上、加害の事実を教科書に書くことをやめよということを意味する中山文科相の発言は、こういう立場を真っ向から否定するものとして、断じて許すことはできない」とのべました。
さらに、「教科書検定基準」の一つに“近隣のアジア諸国の国際理解と国際協調の見地から必要な配慮”を規定した「近隣諸国条項」があると指摘。「教科書行政を統括する立場の中山文科相が、それと百八十度ちがう方向で、教科書会社に圧力をかけるようなことがあるとすれば、到底許されるものではない」とのべました。