2004年12月1日(水)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】米軍がイラク中部ファルージャに対する総攻撃を継続するなか、イラクでは二十八日から二十九日にかけ、各地で米軍やイラク警察にたいする攻撃が激化しました。イラクの識者からは「ファルージャ総攻撃が全土での抵抗激化をもたらしている」との声も出ており、「武装勢力掃討」を口実にしたファルージャ総攻撃が混乱に拍車をかけている状況です。
ロイター通信によると、イラク中部ラマディ西部で二十九日、警察署前で自動車が爆発し、イラク人十二人が死亡、少なくとも十人が負傷しました。死傷者のほとんどが警察官とされます。
北部モスルでは、二十九日までの十日間で、武装勢力によって殺害されたとみられるイラク治安部隊員などの遺体が少なくとも五十体発見されています。
二十九日には首都バグダッドで道路わきに仕掛けられた爆弾が米軍パトロール隊の通過時に爆発し、米兵二人が死亡、三人が負傷しました。バグダッドでは同日、迫撃砲攻撃により米兵十三人と外国人二人が負傷する事件も起きています。
米軍への攻撃は連日行われており、二十八日にはバグダッド南部で米海兵隊員二人が死亡、西部アンバル州でも米兵三人が死亡しました。二十六日にも同地で米兵二人が死亡、米兵の死者は四日間で九人です。十一月の米兵の死者は百三十六人で、一カ月間の死者は昨年三月のイラク戦争開戦以降で最大規模、また米兵の死者の総数は少なくとも千二百五十二人に達しました。
この事態に関し、ファルージャ在住(現在は近郊に避難)でバグダッド大学政治学部教授のサルマン・アルゴメリー氏は二十九日、本紙に対し「米軍はいまもファルージャで市民の虐殺を繰り返している」「米軍のファルージャ攻撃は全土での武装勢力の蜂起と過激化をもたらすだろう」と述べました。
同氏は、米軍の攻撃にもかかわらず、米軍が支配しているのはファルージャの大通りとその周辺にすぎず、現在も抵抗勢力が激しく交戦していると証言、イラク中部では、これまで「穏健派」とされ、イラク治安部隊には攻撃の矛先を向けてこなかった勢力が戦術を変え攻撃をためらわなくなっていると指摘しました。
同氏はまた「『ファルージャ総攻撃は治安改善のため』とした米軍の言い分は誤りだ。治安悪化は選挙実施にたいしても深刻な影響を与えている」と述べました。