2004年12月2日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】イラクやアフガニスタンなどで問題になった米軍による収容者拷問・虐待に関連して、赤十字国際委員会(ICRC)が昨年六月にキューバ・グアンタナモ米海軍基地を調査後、同基地に収容しているアフガンでの拘束者にたいしても虐待がおこなわれていたとする報告書を米政府に提出していたことが明らかになりました。
報告書の存在と内容は、十一月三十日付のニューヨーク・タイムズ紙が報道。同日、ジュネーブの赤十字国際委員会も報告を米国政府に提出していたことを認めました。
ニューヨーク・タイムズの記事は、調査の結果、屈辱的な行動や無理な姿勢を強いる、独房への監禁をおこなうなど精神的、身体的な抑圧が収容者に対しておこなわれ、「拷問に等しい」と結論付けたことを報じています。
ICRCは三十日、報告の事実関係についてコメントを避けましたが、「グアンタナモでの状況、収容者への待遇について深刻な問題があるが、適切に処理されていない」(報道担当)として、収容開始から三年たった現在も状況は改善されていないと主張しました。
ホワイトハウスのマクレラン報道官は同日、グアンタナモ基地での収容者は「人間的に扱われている」と拷問・虐待について否定しました。
米国は、二〇〇一年九月の同時テロ後に始めたアフガン侵攻を通じ、同地で拘束したアルカイダやタリバンのメンバーとみられる容疑者数百人をグアンタナモ基地に収容しました。テロとはまったく関係のない無実の民間人が多く含まれているといわれ、また弁護士への接見や裁判などもおこなわれないことから国際的な批判が続いています。