2004年12月3日(金)「しんぶん赤旗」
十四日で期限を迎えるイラクへの自衛隊派兵について政府・与党は、野党の会期延長要求を拒否して国会を三日に閉会してから派兵延長を決めようとしています。イラク情勢のなかで自衛隊が駐留を続けることがどんな意味をもつのか――日本共産党の小池晃政策委員長の質問(二日、参院決算委員会)で問題点が浮かび上がりました。
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米軍はイラク・ファルージャに一万五千人の兵力を投入し、国際人道法(ジュネーブ条約)で禁じられている民間人、住民や病院に対する無差別攻撃を行いました。イラクの赤十字「赤新月社」の報道担当は「犠牲者は六千人の可能生がある」とのべています。
小池氏は「米軍の狙撃兵が川を泳いで渡ろうとした五人家族を撃ち殺した」「遺体が路上に放置され死臭が耐えられない」など惨状を伝えるジャーナリストの証言を紹介しながら、いかに国際人道法に違反した攻撃なのかを明らかにしました。
小池 総理はこのファルージャ攻撃を「成功させないといけない」といった。日本が国際人道法違反を認めたと世界に表明したことになる。
小泉首相 国際法の規定は無条件に定めているのではない。選挙を成功させるためテロリストを排除しないといけない。
小池 スンニ派など十五の政党が選挙の延期を求めている。テロもなくなるどころか、攻撃が怒りを引き起こしてテロをまた呼んでいるのが現実だ。
ファルージャの攻撃は、イラク戦争の戦闘終結宣言以来、名前のついた作戦としては百十八回目。百十九回目の攻撃も始まっています。米軍はクラスター爆弾、劣化ウラン弾、バンカーバスター爆弾など残虐兵器や大量破壊兵器を使って市民を殺傷する無法を重ねてきました。
小池 残虐兵器使用をやめるべきだと一度でもブッシュ米大統領にいったことがあるのか。
首相 そういう話はしていないが、テロリストの思うつぼにはまったらどうなるのか。われわれがもっと不安に陥ることも考えないと。
小池 国際社会が一致して無差別攻撃を批判している。いい方向に進んでいるようにいうが、米軍が軍の増派を決めたことが事態の深刻化を示している。
選挙の実施を控えた政治プロセスにも深刻な影響を与えていることがはっきりしました。
日本は米軍のイラク出撃拠点となっています。在日米軍からは、横須賀を母港とする空母キティホーク打撃群、厚木基地、三沢基地、嘉手納基地、沖縄の第三海兵遠征軍などから一万人の米兵がイラクに出撃しました。
小池 この戦争は何だったのか。大量破壊兵器は存在しなかった。国連憲章は踏みにじられ国際人道法違反の残虐行為も数限りない。人権と人道を踏みにじる無法の連続だった。日本をこんな戦争の共犯者にしたことをどう考えているか。
首相 フセイン政権が存在していたらどれだけイラク国民が被害を受けたか、世界に脅威を与えたかという点も同時に考えなきゃいけない。
小池 国際人道法違反の無差別攻撃を支援しながら、人道復興支援を口にする資格はない。
日本の自衛隊が駐留を続けることは、イラク国民全体を敵に回すことにほかなりません。小池氏は、「このまま無法なイラク戦争への加担を続ければ、日本の誤りがいっそう取り返しのつかないことになる」とのべ、自衛隊派兵の中止・撤退を求めました。