日本共産党

2004年12月8日(水)「しんぶん赤旗」

自衛隊海外活動が前面

「侵略抑止」から「派兵」へ

米先制攻撃戦略に呼応

防衛庁・検討会議


 自衛隊の将来体制を議論してきた防衛庁の「防衛力の在り方検討会議」の「まとめ」(全文)がこのほど明らかになりました。日本への「侵略抑止」という従来の安全保障政策を大転換し、テロや大量破壊兵器の拡散といった「脅威」への対処を口実に海外での軍事活動(海外派兵)を自衛隊の任務の中心にする内容になっています。防衛庁準広報紙「朝雲」十二月二日号が報じました。

テロなど「脅威」口実に

 「まとめ」は、十日にも閣議決定される新「防衛計画の大綱」に反映させるためのもので、同会議が約三年間議論してきた内容。「我が国に対する本格的な侵略事態が生起する可能性はほとんどない」とする一方、「国際テロ組織などの特定困難な非国家主体による活動」や「大量破壊兵器や弾道ミサイル等の統治面で問題のある国家への拡散・移転」といった「新たな脅威」への対応が「差し迫った課題」と強調しています。

 こうした「脅威」の対処では「従来の(自衛隊が)存在することによる抑止が必ずしも有効に機能しない」と指摘。日本国内にとどまって抑止するのではなく、「国際社会の平和と安定」を口実に海外での軍事対処に「主体的かつ積極的に取り組む」としています。

 日米安保体制について、「自衛隊の海外での活動」を例に「よりグローバルな取り組み」の重要性を強調。「日米間における適切な役割分担を明らかにする」とし、米国の無法な先制攻撃の戦争でこれまで以上に役割を果たすことを示唆しています。さらに、こうした転換のため海外での軍事活動に「能動的な位置付けを与える」としています。

 「まとめ」は陸海空自衛隊の「将来体制」を詳述し、陸自は、国連安保理決議採択から三十日以内の海外派兵を可能にするような即応体制を構築。四千―五千人の「中央即応集団」を新設し、同司令部に海外派兵の計画・指揮を担わせ、派兵要員の教育訓練などを行う「国際活動教育隊」を置くとしています。海外派兵の実動部隊としては、旧ソ連の侵攻対処を目的にしていた北海道の北部方面隊を中心に交代で待機体制をとるとしています。

 海自は、護衛艦部隊を海外派兵任務に対応できるよう編成・ローテーションを変更。空自は、イラクにも展開しているC130輸送機十三機に加え、最新鋭の次期輸送機C―X二十四機を追加。空中給油機KC767が八機必要などとしています。


防衛力の在り方検討会議

 二〇〇一年九月二十一日に第一回の会合を開催。構成は、防衛庁長官、副長官、政務官、事務次官、官房長、防衛局長ら各局長、自衛隊統幕議長、陸海空の各幕僚長などです。



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