2004年12月8日(水)「しんぶん赤旗」
防衛庁の「防衛力の在り方検討会議」の「まとめ」(要旨)は次の通りです。
1、防衛力の在り方検討(略)
2、抑止の概念(略)
3、安全保障環境
冷戦時代に想定されていた世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は一層遠のいている。他方、9・11テロのように、国際テロ組織などの特定困難な非国家主体による活動が安全保障上の重大な脅威として注目されている。また、大量破壊兵器や弾道ミサイル等の統治面で問題のある国家への拡散・移転が進み、非国家主体が取得、使用するおそれも高まっている。これらの新たな脅威への対応が差し迫った課題になっている。国際テロ組織等非国家主体や統治面等で問題のある国家は、その行動に際して常に合理的な判断を期待できず、従来の抑止の考え方が必ずしも機能し得ない。
我が国への本格的な侵略事態が生起する可能性は低下している。
4、基盤的防衛力構想の見直し
新たな脅威は従来の存在することによる抑止が必ずしも有効に機能しない。我が国もまた国際社会の平和と安定のために主体的かつ積極的に取り組むことが重要になっている。
5、日米安保体制を基調とする米国との協力関係並びに関係諸国・国際機関との協力
(日米)両国の協力関係は、自衛隊の海外での活動を見ても明らかなように、よりグローバルな観点も踏まえた国際社会の平和と安定の活動にも重要な役割を果たすこととなる。新たな脅威への対応に際して日米間の適切な役割分担を明らかにすることにより、日米安保体制の実効性を高めることが重要。
6、新たな防衛構想
我が国に対する本格的な侵略事態が生起する可能性はほとんどない。「より機能しうる自衛隊」として、今日の安全保障上の新たな脅威や多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を保有。
7、国際活動の位置付け
我が国の平和と安全をより確固たるものにするため、主体的かつ積極的に国際活動に取り組むという、能動的な位置付けを与えることが必要。
8、防衛体制の基本(略)
9、保有すべき防衛体制
陸上自衛隊は国際活動で、人的な支援活動の中心的な役割を果たす。
海上自衛隊は国際活動に即応し、持続的に対応し得る護衛艦をはじめとする部隊の体制を確立。
航空自衛隊はC―Xの導入や空中給油・輸送機の機数を増やすことで輸送力を強化。
10、各自衛隊の具体的な体制
(1)陸上自衛隊
(国際活動への対応)これまで4〜6カ月を要していた派遣準備期間を短縮し、安保理決議採択後30日(複雑な平和維持活動の場合は90日)以内の迅速な派遣を可能とする体制とするため、「中央即応集団」(規模5000人ないし4000人)司令部に国際活動の計画・訓練・指揮を一元的に担任させるとともに、派遣要員の平素の教育訓練やPKO対応装備品の管理、ノウハウの備蓄等を行う国際活動教育隊(仮称)を創設する。
今後の国際活動については、普通科部隊や施設科部隊などの派遣要員をローテーションで待機させる。具体的には、北部方面隊を中心としたローテーションにする。
(2)海上自衛隊
(護衛艦部隊)ヘリ運用を中心としたDDH(ヘリ搭載護衛艦)を中心とするグループ(DDH×1、DDG〈ミサイル搭載護衛艦〉×1、DD〈護衛艦〉×2)と「ミサイル防衛」を含む防空を重視したDDGを中心とするグループ(DDG×1、DD×3)を基本単位とする。
即応段階Aと即応段階Bに4個基本単位(計16隻)をおくことにより、国内任務と国際任務をそれぞれローテーションにより対応することが必要。
(輸送艦部隊)国際平和協力業務等に対応するため、おおすみ型輸送艦3隻体制を維持する。
(3)航空自衛隊
(輸送機)国際活動等に対応するため、C13013機、C―X24機に加え、KC767・8機が必要である。
(航空警戒管制部隊)弾道ミサイル探知能力を強化するため、FPS―XXを整備する。空中レーダーは、警戒管制機能を有する部隊と警戒監視機能を有する部隊とに改編。