2004年12月8日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉「食育基本法」という法律が国会に提出されていると聞きました。この法律の内容と日本共産党の見解を教えてください。(千葉・一読者)
〈答え〉 食育基本法案は、自民・公明の共同提案の議員立法で、衆院内閣委員会で趣旨説明し継続審議になっています。
法案は、基本理念として「国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成、食に関する感謝の念と理解、食育推進運動の展開、子どもの食育における保護者、教育関係者の役割、食に関する体験活動と食育推進活動の実践、伝統的な食文化などへの配慮と農山漁村の活性化と食糧自給率の向上への貢献、食品の安全性の確保などにおける食育の役割」をうたい、内閣府に首相が会長の「食育推進会議」(25人)を置き、地方は、条例で「食育推進都道府県民会議」「食育推進市町村民会議」を定めるよう求めています。
日本共産党は、この法案について、食生活の不安や乱れが生じている中で「健全な食生活を実践できる人間を育てる食育の推進」を法律で定めることや、基本理念の方向には、基本的に同意できる、と考えています。
ただし、法案には次のような不十分な点があり、ただしていく必要があります。
(1)食品安全行政がもたらした安全問題、輸入自由化がもたらした食糧自給率低下の問題、教育の一環である学校給食を大型弁当工場などに委託した問題など、国民に食の不安や乱れをもたらした政府の責任や原因に触れていない、(2)国民の責務として「食育の推進に努める」と努力規定しているが、食糧自給率の低下や長時間労働などの食生活の環境悪化は、政府の責任で解決すべきものである、(3)「食育推進会議」のメンバーについて、大臣と「十分な知識、経験を有する者」としか定められておらず、消費者代表、農業生産者代表の参加が保障される必要がある―などです。(向)
〔2004・12・8(水)〕