2004年12月9日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】米紙ニューヨーク・タイムズ七日付は、中央情報局(CIA)のバグダッド責任者が十一月に、「イラクの情勢は悪化をたどっており、すぐに回復しそうにはない」との厳しい見方を示した機密報告を提出していたと報じました。
同紙によると、この報告は、イラク暫定政府の権威や経済建設が飛躍的に向上しない限り、治安状況がさらに悪化すると警告しているといいます。同紙は、ブッシュ政権が示している公式の見解と比べて、報告が「かなり悲観的なもの」だとする政府高官の発言を報じています。
米CNNテレビも同日、ほぼ同じ内容のニュースを報道し、ブッシュ米政権にとっては「悪いニュースだ」としています。
一方、ブッシュ大統領は同日、カリフォルニア州のペンドルトン海兵隊基地を訪れ、イラクに部隊を送り出している海兵隊と家族を激励。真珠湾攻撃六十三周年に言及しながら、対テロ戦争には「勝利する」と言明しました。同大統領は、イラクのファルージャ攻撃が「敵に深刻な打撃を与えた」と強調、一月の暫定議会選挙を予定通り実施することで、「テロリストは外国の占領とたたかっているという作り話を打破する」と豪語しました。
しかし、イラクでの戦闘で死亡した米兵が千人の大台に達したことが同日、明らかになるなど、同大統領の強気の発言とは裏腹にイラク戦争は泥沼化の様相を一段と深めています。