2004年12月10日(金)「しんぶん赤旗」
一、日本政府は、八日、北朝鮮側が先月の第三回日朝実務者協議のさい拉致被害者の横田めぐみさんの「遺骨」だとして提供した骨が、専門的な組織分析、DNA鑑定の結果、別人のものであることを公式に確認した。
今回の北朝鮮側の態度は、きわめて重大かつ無責任なものであり、日朝平壌宣言の精神に反するものである。日本共産党は、尊い人命にかかわる問題で、虚偽の「資料」を提出した北朝鮮側の不誠実な態度にきびしく抗議する。
一、北朝鮮は、第三回実務者協議において、真相が解明されていない拉致被害者十名について、小泉首相が二〇〇二年九月十七日に訪朝した直後に提供した「資料」に多くの虚偽がふくまれていたことを認め、それを「訂正」して新たな「資料」を提供した。ところが、その「資料」のなかで中心的位置をしめる横田めぐみさんのものとされた「遺骨」が、虚偽だったことは重大である。北朝鮮が以前に提供した松木薫さんの「遺骨」とされた骨についても、別人のものであることがすでに判明しており、虚偽が連続している。
これらの事実は、北朝鮮側の交渉担当者に、そもそも交渉担当者としての当事者能力があるのかどうか、きわめて疑わしいことを示すものである。現に、外務省の国会などでの説明によれば、九月の第二回日朝実務者協議のさい、北朝鮮側代表だったソン・イルホ外務省副局長は、「拉致にかかわった特殊機関の協力が得られず、調査が難航している」とのべており、十一月の第三回実務者協議のさい、北朝鮮代表となったジン・イルボ人民保安省局長も、「特殊機関の関与した事案であり、……調査が難しい事情」があるとのべている。当事者能力を欠く相手と交渉をつづけても、問題の解明と解決につながらないことは明らかである。
日本共産党は、現在の日朝両国政府間の協議が、拉致問題の真相解明と解決に有効な役割を果たすためには、北朝鮮側で、拉致問題に十分な責任を負うことができる人物が交渉の場につくことが不可欠であると考える。
この立場から、日本政府がつぎのことを北朝鮮側に要求するよう、求めるものである。
(1)北朝鮮側の交渉当事者を、拉致問題の全ぼうを知っており、問題の解決に責任を負うことができ、権限をもった人物とすること。
(2)北朝鮮の現場の全面的調査、関係者の聞き取りなどを含め、日本側の真相解明活動に、十分な保障をあたえること。
二〇〇四年十二月九日
日本共産党幹部会委員長
志位和夫
内閣総理大臣
小泉純一郎殿