日本共産党

2004年12月11日(土)「しんぶん赤旗」

自衛隊 海外派兵を「本来任務」に

新防衛大綱、新中期防を閣議決定

地球規模で「日米役割分担」


 政府は十日、今後十年間の自衛隊のあり方を示す新「防衛計画の大綱」を閣議決定しました。侵略を「抑止」するという戦後日本の安全保障政策を大転換し、「脅威の防止」を口実に自衛隊の海外派兵を「本来任務化」するのが最大の特徴です。「世界の中の日米同盟」路線のもと、地球規模での日米間の役割分担もうちだし、米軍と自衛隊の一体化をさらに推進する内容となっています。新大綱のもとで、今後五年間の軍事力の整備目標を示す新「中期防衛力整備計画」(二〇〇五―〇九年度)も閣議決定しました。

 新大綱は、日本への「本格的な侵略事態生起の可能性は低下している」と強調。今後の安全保障の目標として、「我が国に直接脅威が及ぶことの防止」と「国際的な安全保障環境を改善し、我が国に脅威が及ばないようにする」ことを、二大目標に掲げ、日本にとどまって侵略を防ぐのではなく、海外に出て「新たな脅威」をおさえることを基本としました。

 その際、日米安保体制が新たな脅威への対応でも、「重要な役割を果たしている」と強調。イラクやインド洋への自衛隊派兵を念頭に「日米の役割分担」をすすめるとしました。

 新大綱は、こうした「脅威防止」のために、自衛隊を海外派兵型に転換する「多機能弾力的防衛力」構想を打ち出しました。また、米国の先制攻撃戦略を支える「ミサイル防衛システム」の体制確立を大綱上、初めて位置付けました。

 一方、新中期防では、海外へ「迅速に部隊を派遣」するための部隊の新編、待機態勢の拡充を明記。陸上自衛隊では、海外派兵の指揮を一元的に担う「中央即応集団」を創設。航空自衛隊は、敵基地攻撃能力の保有につながる戦闘機搭載型電子妨害装置の開発に四十億円も見積もっています。

 五年間の軍事費総額は、現中期防より九千二百億円減とはいえ、二十四兆二千四百億円。年額で四兆八千億円以上の高水準。陸自の定数も、現大綱の十六万人より減ったものの、現在の実員より多い十五万五千人です。

 防衛計画の大綱 日本の軍事力のあり方やその具体的な整備目標などの基本的指針を定めたもの。一九七六年に初めて策定し、九五年に改定したものが現行の大綱です。今回の改定は九年ぶりです。




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