2004年12月11日(土)「しんぶん赤旗」
韓国国会(定数二百九十九)は会期末の九日、本会議で韓国軍のイラク派兵を一年間延長する派兵同意案を採決できないまま閉幕しました。与野党の反対議員が議事手続きを使って阻止しました。与党、ウリ党指導部は早急に臨時国会を開き採決する方針ですが、派兵反対の根強さが浮き彫りになりました。
この日、延長に反対する議員が異例の「全員委員会」の招集を要求したため、本会議で同意案を直ちに採決することができなくなった上、予算案と国家保安法廃止法案をめぐる与野党対立のあおりをうけ、野党ハンナラ党議員が会議場から退場してしまいました。
「全員委員会」は重大な案件について議員全員が参加し発言できる特別会。在籍議員の四分の一以上の要求がある場合、議長が招集できます。招集を要求したのはウリ党議員六十二人をはじめ、野党議員をあわせて八十四人。与党に反対議員が多いのが目立ちます。
招集要求に加わったウリ党の林鍾仁議員は、派兵延長反対の理由として、▽戦闘に巻き込まれる恐れがある▽米国の一方的な要求に応じることは韓米関係の発展を害する▽米国がイラク侵攻の根拠とした大量破壊兵器開発と国際テロ組織との関係は事実無根だった―ことをあげました。
三百七十一の市民団体がつくる「イラク派兵反対非常国民行動」は九日発表した声明で、「派兵反対議員が全員委員会を要求し、派兵延長の試みを阻止したことは評価できる」と述べ、国会議員に「米国の侵略戦争と占領を支持する機械になるのか、国民の生命と平和憲法の精神を守る本来の職務をまっとうするのか」と訴えました。
韓国の憲法は第五条で「大韓民国は国際平和の維持に努力し、侵略的戦争を否認する」と定めています。