2004年12月14日(火)「しんぶん赤旗」
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政府が自衛隊イラク派兵の一年延長を強行した問題で十三日、衆院と参院の特別委員会で質疑が行われました。派兵延長の閣議決定に「反対」が六割(「毎日」世論調査、十二日付)を占めるもとで、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、緒方靖夫参院議員は、自衛隊の撤退を強く求めました。
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緒方氏は参院イラク有事特別委員会で、サマワの治安情勢について質問。迫撃砲・ロケット弾による陸上自衛隊宿営地への八回の攻撃について大野功統防衛庁長官は、犯行組織や目的を「特定できていない」と答えました。
緒方氏は「八カ月前に起きた事件についても、私の同様の質問から一カ月半たつのに調査できず、どうして治安は安定していると判断できるのか。無責任だ」と批判。大野長官が「ロケット弾は重大だが、この他の情勢は安定している」と述べたのに対し、緒方氏は「切り離せない問題だ」と批判しました。
緒方氏はまた、サマワの治安任務を、来年三月までに撤退するオランダ軍から英軍が引き継ぐとされていることについて「英軍は米軍とともにイラク戦争を開始し、占領を行ってきた軍隊で、イラク人の反発が強い。英軍の下で自衛隊が活動すれば、ますます占領軍と一体と見なされる」と指摘しました。
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赤嶺氏は衆院イラク特別委員会で、陸自が宿営地内で実施している給水活動について質問。外務省の佐藤重和経済協力局長はODA(政府開発援助)で陸自の十数倍の能力を持つ浄水装置の提供(六基)が始まっていることを明らかにし、大野防衛庁長官は「(陸自による)浄水というニーズ(必要)はなくなってくる」と答えました。
赤嶺氏は今後、給水という宿営地内の活動から道路の補修など宿営地外の活動に比重が移ることになるとし、「(陸自が攻撃される)危険度は高まる」と指摘。加えて、道路の補修工事を実際に行っているのは現地で雇用されたイラク人で、陸自は指揮・監督をしているだけであることを明らかにし、「ODAを使ってイラク人自身が計画し、工事をやっていくことは十分できる。(政府の)『人道復興支援』という立場からも、派遣延長の根拠を失っている」と強調しました。