2004年12月14日(火)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】英政府は九日、退職年齢の引き上げなどを含む公務員年金制度の改変計画を発表しました。公務員を組織する労働組合は、計画に反対し、ストも辞さない強い姿勢をとっています。
政府の計画は、公務員のファイナルサラリー年金と呼ばれる年金制度を対象にしたもの。(1)二〇〇六年から退職年齢を現在の六十歳を六十五歳に引き上げる(2)年金額の査定基準を退職数年前の賃金額から勤続期間の賃金の平均にする―などを含みます。
公務員を組織する労働組合は、(2)の査定基準の変更については対応が異なるものの、(1)退職年齢の引き上げには一致して強い反対姿勢を表明しました。
最大の公務員組合の公務商業労組(PCS、三十万人)は声明で、(1)について「満額の年金を受け取るには、より長期間働くことを強いられるので強く反対する」と表明。(2)については、「不利益をこうむるのではと重大な疑念と不安を生じさせている」と指摘しました。
一方、フィナンシャル・タイムズ紙十日付によると、科学者や技術者など専門的公務職員を組織する「プロスペクト」(六万人)は、専門的技術者の多くが他の職場で経歴を積んでから公務員の職場に就職するため、賃金の平均額を基準にすることに賛成を表明しています。これには、年金満額を受け取るのに必要な期間(四十年)を満たせない人が多く、新計画がこの点で柔軟な制度となるという事情もあります。
しかし、同労組も退職年齢の引き上げには「まったくの反対」を打ち出しています。
英BBC放送は、六十万人に影響が及ぶ政府の新計画は、労働者の掛け金が増大する一方で年金受取額は減少することが見込まれると報道。また、年金掛け金は将来も上昇し続ける可能性があると指摘しました。
ナショナルセンターの労働組合会議(TUC)は、公務員関係の十二以上の労働組合を集めて会議を持ちます。多くはストも辞さないと強い姿勢を示しています。