2004年12月15日(水)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】国連のアナン事務総長は十三日、安全保障理事会に提出したイラク情勢についての報告で、軍事衝突による一般市民の犠牲に強い懸念を示すとともに、軍事力の使用を抑制する必要性を指摘、間接的ながらファルージャなどへの米軍の攻撃を批判しました。
報告はカジ事務総長イラク問題特別代表によって行われ、来年一月三十日に予定される暫定国民議会選挙を前に、とくにバグダッドをはじめイラク中部での治安悪化が大きな問題だとしています。
報告は、軍事力の使用は「最後の手段でなければならない」とし、また、人道と人権に関する国際法に「厳格に基づかなければならない」と述べています。とりわけ、軍事衝突の際の一般市民の安全と保護は「国連の最も大きな懸念」であり、一般市民の生命を守るとともに、被害者をただちに救援することに「あらゆる努力を傾注すべきだ」と強調しています。
ファルージャでは米軍の攻撃で一般市民に多数の犠牲が出ていますが、米軍は赤新月社の救援を長期にわたって阻止、このために被害が拡大しました。
報告はまた、イラク国内では、選挙ボイコットや延期を求める動きが出ていることから、すべての国民の間での対話と和解促進を訴えています。
さらに、国連職員への脅威が依然として重大だとして、深刻な懸念を表明。職員の派遣を拡大するには全体の治安状況の改善が必要と述べ、当面、派遣を拡大する条件にないと指摘しています。ダンフォース米国連大使はこれに対し、選挙の成功にとって国連の存在は「死活的に重要だ」と、国連職員の追加派遣を強く要請しました。