2004年12月16日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十五日、国会内で記者会見し、拉致問題での日朝交渉にかんする北朝鮮外務省スポークスマンの十四日付の談話にたいし、次の談話を発表しました。
北朝鮮政府の態度について |
一、北朝鮮外務省スポークスマンは、十四日の談話で、北朝鮮側が、横田めぐみさんの「遺骨」として提出した骨が、別人のものだったとする日本側の鑑定結果について、「特定の目的のために企てられた政治的筋書きによるものだという疑惑を抱かざるをえない」として非難した。さらに、安否不明の拉致被害者にたいする北朝鮮の調査委員会の活動を停止すること、核兵器開発をめぐる六カ国協議から日本を排除する構えを示した。
これは、まったく道理のない態度である。
一、日本側は、「遺骨」として提供された骨について、専門的な組織検査、DNA検査という科学的根拠をもって別人のものであることを確認している。日本側が、北朝鮮側が提出した資料について、精査してその真偽をただし、精査の結果、問題点がある場合には、その内容と根拠を提起するのは、当然のことである。その根拠について、北朝鮮側が納得できない、ということであれば、その意見と根拠を示して、日本側に伝える。これが、外交交渉の当たり前のあり方である。
ところが、今回北朝鮮外務省スポークスマンが示した態度は、なんらの根拠も示さず、頭から、「政治的筋書き」にもとづいた「でっちあげ」と非難するものである。これは、北朝鮮側が提出した資料は、無条件で「真実」と認めろ、と要求することにほかならず、こういう態度は、政府間の外交交渉において、許されるものではない。
だいたい北朝鮮側が、前回、二〇〇二年九月に提出した資料には、多くの虚偽が含まれていたことは、金正日国防委員長自身が認めていることである。だからこそ、金委員長自身が、五月の日朝首脳会談で、「白紙からの再調査」を「約束」したのである。
わが党は、北朝鮮側が、日本政府から後日渡されるであろう精査結果についての全資料を真剣に検討し、その上で、再調査のための必要な措置をとることを、強く求めるものである。
一、北朝鮮外務省スポークスマンは、「めぐみさんの夫が自分の妻ではない他人の遺骨を日本側に渡したというのは想像もできない」とのべているが、めぐみさんの「夫」とされる人物は、拉致を実行した「特殊機関」の要員であることが判明している。このことは、この人物が「遺骨」を渡したという事実が、科学的な精査の結果を否定する根拠とはなりえないことを、示している。むしろそれは、虚偽の「資料」の提供に「特殊機関」が介在しているという重大な事実を浮き彫りにするものである。
一、北朝鮮側が、日本側が「遺骨」の精査結果を発表したことをもって、「調査委員会」の活動中止や、核兵器開発をめぐる六カ国協議からの日本の排除の構えを示したことも、重大である。拉致の真相調査の問題で道理のない態度をとったうえ、それを口実に、拉致問題での協議という両国の首脳間での合意そのものをくつがえす態度をとったり、北東アジアの非核化と平和への国際的努力を打ち壊す態度をとることは、無法に無法をかさねることでしかない。
一、北朝鮮のこうした道理のない態度をただしていくうえでも、わが党が九日の党首会談での「申し入れ」で提起したように、日本政府が、北朝鮮側の交渉当事者を、拉致問題に十分な責任と権限をもった人物とすることを、強く求めていくことが、いよいよ重要になっていると考える。