2004年12月16日(木)「しんぶん赤旗」
社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」は十五日、母子世帯などを対象に生活保護費に上乗せする「母子加算」の見直しなどを盛り込んだ報告書をまとめました。
報告書は、加算を含めた母子世帯への保護基準が一般母子世帯の消費水準より高いとして加算廃止を求める厚生労働省の主張にたいし、「単純な比較により…(加算の)妥当性を判断することはできない」という指摘をもりこみつつ、「一律・機械的な支給」の見直しを提言しました。厚労省はこれを受け、制度改定に着手します。
報告書はまた、生活保護基準と一般低所得世帯との「均衡」をはかるため、今後五年に一度、保護基準の検証を行うことを提起しています。
“利用しやすく自立しやすい制度”という観点から、自治体が「自立支援プログラム」を策定し、多様な「自立・就労支援」に取り組むことも求めています。同「プログラム」については本人に適合するか慎重な検討が必要とし、プログラムの見直しにもかかわらず合理的理由なしに参加を拒否しているときは「文書による指導・指示」を行い、それでも改善がないときは保護の「停止」「廃止」を考えるとしています。
保護から排除するときの口実となる“就労の能力(稼働能力)の活用状況”については、「稼働能力があることをもってのみ保護の要件に欠けると判断すべきものではない」とし、地域の求人状況など活用状況を評価する客観的指針の策定を提言しました。
また、進学が一般的になっている高校の就学費用を生活保護に新たに含めることも検討すべきだとしています。
母子加算 母子・父子家庭や、両親以外が子どもを育てている世帯への上乗せ支給です。子どもの健全な育成をはかるための費用として、子どもが十八歳になった年の年度末まで支払われます。受給件数は八万九千二百九十四件(二〇〇三年七月現在)。東京二十三区(一級地)で子ども一人の場合、月額二万三千二百六十円です。