日本共産党

2004年12月17日(金)「しんぶん赤旗」

イラクとアフガンで米軍が収容者虐待・拷問

人権団体が相次ぎ批判

未成年者ひざまずかせ「死刑執行のまね」

変圧器で電気ショック


 【ワシントン=浜谷浩司】イラクとアフガニスタンで米軍兵士による収容者の虐待・拷問が広範に行われているにもかかわらず、米国防総省は問題解決に取り組んでいないとして、人権団体が相次いで批判しています。

 「米市民的自由同盟」(ACLU)は十四日、イラクで米海兵隊員による収容者への虐待・拷問が広く行われていることを示す海軍文書を入手したと発表しました。

 文書は、▽四人の未成年者をひざまずかせ、けん銃を発射して「死刑執行のまね」をした▽収容者の後頭部にけん銃をあてた写真を撮影した▽手をアルコールに浸し、火をつけた▽変圧器で電気ショックを与えた―などの例を示しています。

 イラクのアブグレイブ収容所での拷問事件が明らかになったあと、海軍の犯罪捜査官は「件数が爆発的に増え、明白な事件も増えている」とするメールを送っています。

 ACLUは、新たな拷問の事例が「日々明らかになっている」とし、虐待が「広範に行われている」ことは、最高責任者の指揮の誤りを示していると指摘。また、虐待は特別な事態ではなく、国防総省が「極端な尋問方法を採用している」ためだと批判しています。

 一方、「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は十三日、ラムズフェルド国防長官あての公開書簡を発表。その中で、アフガニスタンでの収容者虐待について国防総省が無責任な姿勢をとり続けていると批判しました。

 書簡は、米軍が拘束していた六人の収容者が死亡し、うち四人は殺害されたことが明らかになっているにもかかわらず、米政府はわずかな捜査で二人を起訴しただけだと指摘。「罪を犯しても罰せられない文化」が生み出され、イラクでの虐待にもつながっているとしています。

 また、「アブグレイブ収容所の場合と同様」に、米政府は虐待の責任を下級兵士に負わせ、指揮官や民間人を装った中央情報局(CIA)関係者らの役割を調査しないと批判。米軍はアフガニスタンでいまも法的手続きによらずに拘束を続け、家族や弁護士らとの通信も認めず、赤十字国際委員会の調査からも収容者の存在を隠すなど、ジュネーブ条約に違反していると指摘しています。



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