2004年12月18日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 地方自治体には200兆円を超す借金があると聞きましたが、このように膨れ上がった原因は、無駄な公共事業以外には何かありますか?(東京・一読者)
〈答え〉 地方財政の借入金残高は、04年度末で204兆円と見込まれ、とくに90年代以降、急増しました。90年度末の借金残高67兆円と比べると3倍にもなっています。
この大きな要因として、90年代に年間50兆円という国内での公共事業のうち、約30兆円を地方が担わされてきたことがあります。そのため地方自治体は、必要な公共事業に加えて、計画を前倒ししたり、不要不急の公共事業をすすめる例も各地に広がりました。
この間の借金急増には他にも大きな要因があります。一つは地方交付税の財源が足りなければ、補てんする責任は国にあるのですが、これを地方の負担・借金で肩代わりする仕組みを導入したことです。
98年度から3年間は、交付税の不足分を国が交付税特別会計として借金し、その半分を名目上、「地方負担分」としました。これが約33兆円で地方の借金残高に含まれています。01年度からは、「地方負担分」を、各自治体ごとに臨時財政対策債という借金で補わせる制度になっています。これが14兆円余りにのぼります。
もう一つは、国の景気対策による減税政策で、地方税にも減収が生じ、国はこの減収分を、自治体の借金(減税補てん債)で補わせてきたことです。こうした交付税の不足分や減税の減収分をはじめ、国が本来補てんすべきものを自治体の借金に肩代わりさせたその規模は76兆円で、90年代以降の借金残高の増額分の6割近くにも及びます。臨時財政対策債や減税補てん債などは、国の制度として自治体の借金に振り替えたものなので、その返済は全額、地方交付税で手当てするとされています。しかし、交付税の総額が削減されていくなかで、国の財政責任を地方の借金につけまわしするやり方に対して、地方の不安と反発が広がっています。(平)
〔2004・12・18(土)〕