2004年12月20日(月)「しんぶん赤旗」
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自民、公明両党が十五日に決定した二〇〇五年度税制「改正」大綱に、フリーターなど短期就労者に対する個人住民税の課税強化が盛り込まれました。低賃金・短期雇用の青年労働者にも、もれなく徴税の網をかぶせようというねらいです。
今回見直されるのは、個人住民税のうち、所得に応じてかかる「所得割」です。市町村は、毎年一月に企業から提出される「給与支払報告書」をもとに従業員の税額を算出。六月から翌年五月までを年間サイクルとして、給与から天引きします。
ところが、一月二日以降に働き始め、その年のうちに離職した従業員については、市町村に所得が報告されません。地方税法で市町村への報告が必要な従業員を「一月一日時点で給与の支払いを受けている者」に限っているためです。このため、多くのフリーターの所得を把握できないしくみとなっています。
与党はこれを「課税もれ」と問題視し、税収アップ策の一環として大綱に盛り込みました。大綱は、一年以内の短期就労者についても、退職時にその従業員が住んでいた市町村に、給与支払い報告書を提出することを、すべての事業所に義務づける考え方を打ち出しました。ただし、給与金額が三十万円以下の場合には、提出しないことができるとしています。
総務省は、与党の方針も受け、地方税法を改定して実施したい考えです。「一定の収入があれば今までも課税の対象だったわけで、増税ではない」としています。
医療をうけようとすれば国民健康保険の高い保険料負担をしいられ、仕事につこうとすればいつ解雇されるかわからない厳しい労働条件を押しつけられているフリーターらからは、「弱い者いじめではないか」の声があがっています。
首都圏青年ユニオン書記次長・菅原良子さんの話 若者は税についての知識があまりありません。短期で複数の職場を渡り歩いた場合、源泉徴収で税金を引かれたまま確定申告をせず、過払いになっていることも多い。とりたてを強めるなら、還付の受け方についてもきちんと説明すべきです。短期就労の若者は、低賃金で将来の見通しもない社会的弱者です。正規雇用増や非正規の待遇改善、職業訓練の充実などにこそ、政府は真っ先にとりくむべきです。
個人住民税の所得割 給与収入から給与所得控除六十五万円、基礎控除三十三万円、社会保険料控除を差し引いた額が課税対象となります(課税所得が二百万円未満なら税率は5%)。独身の場合、年収が百八万八千円未満なら課税所得がゼロとなるため、所得割は非課税です。