2004年12月21日(火)「しんぶん赤旗」
財務省は二十日、二〇〇五年度予算の原案を各省庁に内示しました。歳入では、定率減税の半減(〇六年一月から実施)による税収増を盛り込んでいます。小泉政権が狙う定率減税廃止(〇七年一月から実施予定)や消費税の二ケタ税率への引き上げ(〇七年度)へ向けた大増税路線に踏み出す内容です。
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歳出では、無駄な公共事業や軍事費は温存し、介護や国民健康保険、教育など、国民のための予算に大ナタを振るおうとしています。
国内総生産(GDP)統計など、この間の経済指標は景気減速を示しています。同日、内閣府が発表した十二月の月例経済報告も、二カ月連続で景気判断を下方修正しました。
財務省原案は、減速する経済を立て直す処方せんを示すどころか、家計に痛みを押し付け、消費を冷やし、景気をいっそう悪化させる方策を盛り込んだ最悪の経済政策となりました。
予算全体の規模を示す一般会計は、〇四年度当初予算比0・1%増の八十二兆一千八百二十九億円。このうち、政府の純粋な行政支出である「一般歳出」は、国・地方の税財政の「三位一体改革」にかかわる補助金削減や、各分野の歳出「抑制」などで、同0・7%減の四十七兆二千八百二十九億円となりました。
一般歳出を主要経費別に見ると、社会保障関係費が同2・9%増の二十兆三千七百八十六億円。高齢化の進展とともに増える自然増分を、介護施設の入所者に食住費の自己負担を求めることなどで圧縮しています。
文教・科学振興費、中小企業対策費、食料安定供給関係費などが、軒なみ減額となりました。
一方、浪費型公共事業の典型である関西空港二期工事は推進。軍事費は、同1・0%減の四兆八千五百六十三億円ですが、米国の危険な軍事戦略に日本を組み込む「ミサイル防衛(MD)」や海外派兵対応に重点を置いています。
国債の新規発行額は、6・0%減の三十四兆三千九百億円と四年ぶりに減少しました。
予算編成の流れ 来年度予算財務省原案が各省庁に内示され、各省庁と財務省との調整(復活折衝)が始まります。調整を受け、政府は二十四日(予定)に来年度予算政府案を決定。政府案は、年明けの国会に提出され、国会で審議されます。
日本共産党の市田忠義書記局長は二十日、国会内で記者会見し、同日内示された来年度予算の財務省原案について、定率減税の半減などをあげ、「暮らしと景気破壊の大増税予算だ」ときびしく批判しました。
市田氏は、年金保険料の値上げなど「すでに決定され、実行または実施予定の国民負担増は巨額にのぼる」とし、そのうえ庶民増税が強行されれば「サラリーマンや高齢者などの暮らしは、はかりしれない打撃をこうむる」と断じました。
その一方で、「不正でムダな予算の『使い方』には何のメスも入れられていない」とし、減額が宣伝されている軍事費についても、海外派兵向けとアメリカの戦略補完の内容になっており、「事実上の『軍拡予算』だ」と批判しました。