2004年12月21日(火)「しんぶん赤旗」
「国民議会選挙に向け治安を改善するために、ファルージャの武装勢力を掃討する」
今回のファルージャ総攻撃にあたって、米軍やこれを支持するイラク暫定政府はこう繰り返してきました。
実際は数千人のファルージャ住民を無差別の攻撃で殺害したのです。しかも、それによって治安は改善するどころかますます悪化しているのです。治安を口実にした米軍の横暴勝手にいい知れぬ怒りをおぼえます。
治安の悪化は、米軍自身が今月初めにイラク駐留部隊を一万二千人増やすと表明したことにも示されています。さらに米中央軍副司令官は十五日、「敵は非常に優れており、戦術も変えてきている」などとのべ、武装勢力の脅威の増大を認めました。
実際、ファルージャ総攻撃開始以降、武装勢力の蜂起は中部各地や北部のモスルなどスンニ派地域で相次いできました。最近は北部クルド人地区や南部のシーア派地域にも拡大する気配を見せています。十五日にはシーア派聖地カルバラ中心部で爆弾が爆発、数十人が死傷する事態も発生しています。十九日には、カルバラに加え、ナジャフでも爆弾事件が相つぎ、少なくとも六十六人が死亡しました。
十一月の米兵の死亡はイラク戦争開戦以降最大の百三十六人に達しました。現在も死傷者が増え続けています。イラクでは来年一月末に国民議会選挙の実施が予定されていますが、各地でいま、「治安が心配で投票にはいけない」との声が広がっています。
米軍にたいする抵抗は、なによりもファルージャで激しさを増しています。現地ジャーナリストのバドラーニ氏によれば、同地にはいま、新たな武装勢力が入り米軍に攻撃を加えており、ある組織は「アメリカにたいする軍事作戦はつづく」とする声明を発表しています。
ファルージャ住民にとって、「テロリストの存在」などという米軍の攻撃の口実は、「大量破壊兵器」という完全にウソが証明されたイラク戦争の口実と同じであり、とうてい容認することのできないものです。そして、このいわれのない攻撃にたいしては命をかけてでもたたかいつづける決意をもつ住民が多数です。
「しんぶん赤旗」カイロ支局は総攻撃開始から数日たった時点で、ファルージャから七人の子どもを連れて命からがら避難したアリ・ファデール・アッバスさん(34)に電話取材しました。
アッバスさんは「テロリストとたたかうことに異論はありません。しかし、ファルージャのいったいどこにテロリストがいるというのでしょうか。テロを口実にこのような攻撃をおこなう米軍こそテロリストではないですか」とのべたあと、避難した家族が落ち着き次第、単身、ファルージャに舞い戻り米軍に抵抗する決意を語りました。
小泉大介記者
(つづく)