2004年12月21日(火)「しんぶん赤旗」
|
財務省が二十日に内示した来年度予算原案の軍事費(防衛関係費)は、総額四兆八千五百六十三億円で、今年度予算比1・0%(四百六十七億円)の減にすぎませんでした。政府が先に決定(十日)した新「防衛計画の大綱」が、「ミサイル防衛」の推進と自衛隊海外派兵の拡大を打ち出したことが、五兆円近い巨額の軍事費を維持する最大の要因になっています。
今後十年間の自衛隊のあり方を示した新大綱は、日本への本格的侵略の可能性について「低下」と指摘。そのための自衛隊の装備について「縮減」をうたっています。本来なら、大幅軍縮が可能なはずです。
ところが新大綱は、「ミサイル防衛」(MD)システムの「確立」を盛り込みました。同システムは、ブッシュ米政権が、相手国のミサイルを無力化することで、報復の心配なく先制攻撃を可能にするため、開発・配備を進めているもの。日本は昨年、配備を決めました。防衛庁は、今後八年間で八千億―一兆円かかると見込んでおり、財務省原案でも千百九十八億円を計上しました。
新大綱が、自衛隊の海外派兵を「本来任務」として位置づけたことも重大です。
軍事費のなかの四割以上は、人件・糧食費です。自衛隊の人員のうち六割を占める陸上自衛隊は、新大綱の策定時、海外派兵のための人員確保を理由に削減に抵抗。結局、新大綱に盛りこまれた定数は実員(実際の隊員数)を上回りました。
海外派兵のための装備も目白押しです。陸自では、イラク派兵で使われている軽装甲機動車百六十両(三両増、五十億円)、装輪装甲車十五両(一両増、十八億円)を調達。海自では、海外展開する艦隊の通信能力強化をはかるシステム経費(「衛星通信ネットワークの再構築」)に百七十三億円を計上。空自では、空中給油機の調達や新型輸送機の開発など、海外への長距離輸送を可能にする経費を盛り込んでいます。海外派兵型に変ぼうを遂げる新たな「軍拡予算」になっています。