日本共産党

2004年12月22日(水)「しんぶん赤旗」

赤旗記者は告発する

ファルージャ総攻撃の無法(3)

「親フセイン」の偽り


 記者(小泉)がファルージャにこだわるのは、今回の総攻撃の残虐さ、むごたらしさからだけではありません。それは、ファルージャがブッシュ米政権による無法なイラク戦争の犯罪性をもっとも象徴的にあらわしているからです。

 ファルージャではフセイン元大統領の支持基盤であったイスラム教スンニ派の住民が多数で、いわゆる「スンニ派三角地帯」の一角を占めることから、同地の住民は親フセインであり、住民の反米感情はそこからきていると思われがちです。米軍もファルージャの武装勢力が「フセインの残党」のような印象をふりまいています。事実は違っていました。

住民弾圧したフセイン当局

 バグダッド大学政治戦略研究センター研究員のファラフ・サマライさん(38)は「フセイン元大統領とファルージャ住民は反目しあっていて、住民にたいする当局の弾圧も激しかった。フセイン氏がファルージャを訪れることはほとんどなかった」といいます。同地住民が旧体制派であったという事実はありませんでした。それどころか、イラク戦争でフセイン体制が崩壊した際には、これを多くの住民が歓迎していたとする証言も多数出ているのです。

 しかし米軍はこのファルージャで、イラク占領の開始当初から無法の限りを尽くしてきました。

 昨年四月末には米海兵隊が同地の小学校を突如襲撃・占拠し、子どもたちを学校から追い出しました。学校明け渡しを求める住民の平和的なデモにたいし、海兵隊員はこともあろうに学校の屋上から無差別の銃撃を加え、住民二十人近くを殺害、百人以上を負傷させるという信じがたい蛮行を働いたのです。

 今年三月末には、米軍の業務を請け負っていた民間警備会社職員で元米軍兵士の四人がファルージャで殺害されました。これにたいし米軍は数千の部隊で街を包囲し、大規模な無差別爆撃を行い、約七百人といわれる住民を大量虐殺しました。

「反米感情」は米軍が育てた

 以上の経過が物語るのは、ファルージャの反米感情は、親フセインからくるもともとの反米ではなく、米軍が自分でつくりだした新しい反米感情だったのです。

 米軍による今回のファルージャ総攻撃は、自らの戦争・占領政策破たんのつけを、さらなる無辜(むこ)の住民の流血で清算するという、侵略者の本性をむき出しにしたものでした。

 米軍は、ファルージャ住民の反米感情と、それを土壌に組織を拡大した抵抗勢力を一掃するために度重なる住民の大虐殺を行い、そしてそれがさらなる抵抗勢力の活動の土壌をつくりだしています。これがファルージャの、そして米軍によるイラク占領の無法さの本質です。  小泉大介記者

 (つづく)



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