2004年12月22日(水)「しんぶん赤旗」
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難治性のてんかん患者である長女の頭部保護帽(ヘッドギア)の購入費用を健康保険の適用外としたのは違法と、大阪府泉大津市の守安弘さん(63)が堺西社会保険事務所長を相手取り、家族療養費不支給決定の取り消しを求めた訴訟の判決が二十一日、大阪地裁でありました。川神裕裁判長は、父親の訴えを全面的に認め、不支給決定の取り消しを命じました。
守安さんの長女、瞳さん(23)は突然転倒する発作がひん発し、知的障害、情緒行動障害等の精神症状があります。瞳さんの保護帽は一万五千六百円します。転倒による頭部保護だけでなく、行動を広げ、精神症状を緩和・改善するためにも必要な装具です。しかし社会保険事務所は「てんかん治療そのもののためではない」と不支給としたため、守安さんが〇二年十一月に提訴しました。
判決は「てんかん発作の治療は情緒不安定などの精神症状への対処も含めた包括医療が必要と指摘されている」とし、「治療上必要な装具であり、家族療養費の支給対象となる。不支給決定は合理性を欠き、裁量権を逸脱した違法がある」と断じました。
てんかん患者の頭部保護帽は、肢体不自由や重度の知的障害で在宅の場合は支給されますが、施設に入所し、中度の知的障害の瞳さんは対象外とされています。判決はこうした状況について「健康保険制度の枠内での解決にもなじむものととらえることもできる」としています。
判決後の会見で瞳さんは「これを機会に世の中の人の目がやさしくなれば」とのべ、原告側は「全国で百万人、難治性で二十万人の患者の朗報になります」と語りました。