2004年12月23日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 最近「朝鮮人の強制連行はなかった」という論調が多く見られます。それを読むと、何十万人もの朝鮮人の強制連行という根拠はないのか、とも思えてきます。貴党はどう考えているのでしょう。(東京・一読者)
〈答え〉 朝鮮や台湾の人たちを強制連行し、従軍「慰安婦」にしたり、強制労働をさせたことは、1993年の河野洋平内閣官房長官談話で「募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあった」と、政府も公式に認め、「心からお詫びと反省」をし、「永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さない」と表明したことです。
自民党の政治家や右翼勢力はこれに危機感をもち、「新しい歴史教科書を作る会」などを作り、「従軍慰安婦」問題を記述した教科書への攻撃を強めました。先日の中山成彬文科相の歴史教科書についての「従軍慰安婦とか強制連行とかいった言葉が減ってきたのは本当によかった」との発言もこの動きの線上のものです。
強制連行・労働の規模は、戦前の政府資料から150万人とする試算、大蔵省が47年に出した「日本人の海外活動に関する歴史的調査」(朝鮮編)での72万4千人、「日韓条約」調印の過程で韓国側が示した66万7千人などの数字があります。
しかし政府は、調査をサボり、90年の日韓外相会談で、韓国側から強制連行者の名簿提出を依頼され初めて動き出すという状況でした。
日本共産党の吉岡吉典参院議員は、当時の参院内閣委員会で、政府の指示によって終戦当時、強制連行・労働にかかわる書類や給与の貯金通帳などの大部分を焼却したことへの謝罪や、名簿および強制連行のやり方や連行後の在日朝鮮人の苦難などの調査、を要求。男手のある家の寝込みを襲ったり、田畑で働いている最中にトラックを回して乗せ、日本の炭鉱へ送り込んだなど、朝鮮総督府関係者の著書を引用し、その実態を告発しています。(岡)
〔2004・12・23(木)〕