2004年12月25日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 A級戦犯ってどんな人たちで、靖国神社に合祀(ごうし)された人は何人いて、どんな名前の人ですか?(兵庫・一読者)
〈答え〉 59年前に終わった日本の侵略戦争はアジアで2000万人以上の死者をだしました。A級戦犯(戦争犯罪人)とはその中心的指導者です。1948年、極東国際軍事裁判は起訴されたA級戦犯28人中、7人を死刑、16人を終身禁固、2人を有期禁固としました。しかし、最高責任者・昭和天皇は不問、禁固のA級戦犯もやがて釈放され、禁固7年の重光葵は外相に、A級戦犯容疑者だった岸信介は首相になりました。
A級戦犯容疑での逮捕は100人を超え、このうち起訴されたのは、荒木貞夫文相、板垣征四郎支那派遣軍参謀長、梅津美治郎関東軍司令官、大川周明満鉄調査局理事長(精神障害で免訴)、大島浩駐独大使、岡敬純海軍軍務局長、賀屋興宣蔵相、木戸幸一内相、木村兵太郎ビルマ派遣軍司令官、小磯国昭首相、佐藤賢了陸軍軍務局長、重光葵外相、嶋田繁太郎海相、白鳥敏夫駐伊大使、鈴木貞一企画院総裁、東郷茂徳外相、東条英機首相、土肥原賢二在満特務機関長、永野修身連合艦隊長官、橋本欣五郎砲兵連隊長(南京虐殺時)、畑俊六陸相、平沼騏一郎首相、広田弘毅首相、星野直樹満州国総務長官、松井石根中支派遣軍司令官(南京虐殺時)、松岡洋右外相、南次郎陸相、武藤章陸軍軍務局長の28人。占領政策転換の中で起訴を免れて釈放された者は、安倍源基内相、岸信介商相、特務機関の児玉誉士夫、笹川良一国粋大衆党首、正力松太郎読売新聞社長ら多数います。(肩書は戦時)
このうち、靖国神社に合祀されたのは、絞首刑となった東条、広田、土肥原、板垣、木村、松井、武藤の7人と、終身禁固刑をうけ獄死した平沼、梅津、白鳥、小磯、禁固20年の刑をうけ獄死した東郷、公判中に死去した松岡、永野の14人です。
靖国神社は、B・C級戦犯とともに、78年10月にひそかに14人を「昭和受難者」として合祀しました。同神社は、あの戦争を聖戦として賛美するなど、恒久平和の憲法原則に対立する立場に立ち、A級戦犯合祀はそれを象徴するものです。(喜)
〔2004・12・25(土)〕