2004年12月30日(木)「しんぶん赤旗」

抗生物質使用 日本共産党の見解は?


 〈問い〉 『食べ物から分かる抗生物質』という本を読み、ショックを受けました。抗生物質使用についての見解をお聞かせください。(大阪・一読者)

 〈答え〉 成長促進目的に使用される飼料添加の動物用抗菌剤が、人や家畜の健康に害をもたらすという警告が出されたのは1969年、英国ででした。日本でも、すでに70年代のはじめ、消費者団体が「抗生物質の入っている牛乳を飲むと、病気になった時に抗生物質を飲んでもきかなかったり、アレルギーショックを受けることがある」と、抗生物質の飼料への使用の規制を求めて運動をしていました。

 その後、抗生物質に耐性をもつMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌)の病院内感染による死亡の急増に加え、最近では市中でもMRSAが猛威をふるっていることが明らかになり、あらためて「食用動物に抗菌性物質を使うことが、食物連鎖によって人へ伝播(でんぱ)し、人の細菌感染症の治療を困難にするという危険性」が大きな問題となっています。

 世界でも、EU各国をはじめ、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)、アメリカなどが、成長促進目的の使用制限、特定の抗菌剤の使用禁止、危険度分析、承認手続き等の見直しをすすめています。

 日本では、家畜1060トン、魚230トン、農業400トンと、大量の抗生物質(含合成抗菌剤)が使用されています(人520トン)。畜産、養魚、農業などに、経済性、効率性、高収益性第一で、病気予防や成長促進のために安易に抗生物質を使い続けることは、決してあってはなりません。

 日本共産党は一貫して、実態把握と、人への影響調査、予防原則の立場にたって、食用動物にたいする抗生物質使用への規制の強化を求めてきました。抗生物質は、食品衛生法や薬事法で、使用・残留基準が決められていても、検査が100%できるわけではなく、違反はあとをたちません。大もとで厳しく規制するしかありません。(岩)

 〔2004・12・30(木)〕



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