2005年1月5日(水)「しんぶん赤旗」

イラク 選挙を前に攻撃相次ぐ

バグダッド州知事暗殺

暫定政府閣僚「延期も」


 【カイロ=小泉大介】今月三十日に暫定国民議会選挙の実施が予定されるイラクでは、年明けから反政府武装勢力による攻撃が相次ぎました。イラク暫定政府閣僚からも選挙延期を容認する発言がでています。

 イラク暫定政府のシャアラン国防相は三日、訪問先のカイロで記者会見し、「選挙延期によって(スンニ派の住民の)参加が得られるのであれば延期もありえる」と表明し、暫定政府閣僚としては異例の選挙延期の可能性に言及しました。

 一方、四日、バグダッド州のハイダリ知事が暗殺されました。知事は首都西郊の自宅を出た後、近づいてきた車から銃弾を浴びました。知事は六月の主権移譲後イラクで暗殺された要人としては最高位。

 同日早朝には、在イラク米大使館やイラク暫定政府庁舎などが集中する首都バグダッド中心部の「グリーンゾーン」(米軍管理区域)の検問所付近で自動車爆弾が爆発し、少なくとも十一人が死亡、六十人が負傷しました。バグダッドでは三日にも自動車爆弾攻撃が連続して発生しました。

 このほか四日、アンバル州で米海兵隊員一人が殺害されました。三日には中部バラドの米軍基地近くで爆発が起き、国家警備隊員六人が死亡、八人が負傷しました。北中部ティクリットでも爆弾攻撃で国家警備隊員六人が死亡、四人が負傷しました。イラクでは十二月三十一日から三日にかけて、武装勢力の攻撃で国家警備隊員や警官を中心に約六十人が殺害されました。

 現地からの報道によると、イラク治安機関のモハメド・シャハワニ長官は三日、イラクの抵抗勢力は二十万人存在するとの見方を示しました。米軍は「選挙成功のため武装勢力を掃討する」とファルージャへの総攻撃を強行しましたが、逆に抵抗勢力の活動を活発にさせています。

 治安の悪化に加え、ファルージャ総攻撃に抗議してイスラム教スンニ派有力組織のイスラム聖職者協会が選挙ボイコットを呼びかけたのに続き、昨年十二月二十七日、スンニ派最大政党のイラク・イスラム党も選挙不参加を表明するなど、イラク内外で選挙の正当性にたいする疑問の声が高まっています。



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