2005年1月13日(木)「しんぶん赤旗」 諫早干拓差し止め国の異議申立て却下佐賀地裁 被害防ぐ唯一の手段
有明海の漁民百六人が申請した国営諫早湾干拓の工事差し止め仮処分で、佐賀地裁(榎下義康裁判長)は十二日、昨年八月の決定に対する国の異議を退け、改めて工事続行禁止を認める決定を下しました。 佐賀地裁は、諫早湾干拓と有明海の環境悪化の因果関係を改めて認め、「潮受け堤防の存在する限り、漁業者に将来的にも漁業被害が継続する可能性を否定できず、その生計に重大な影響が及ぶことが懸念される」と判断。決定理由で「漁業被害を将来的に防ぐための第一歩としては工事の差し止め以外に他の有効な代替手段も見当たらず、その意味で差し止めが被申立人(漁業者)らが採り得る現時点で唯一の最終的な手段と思料される」と言及しました。 国に対しても、漁業被害を最小限に抑えるための種々の工夫や事業計画の修正をなし得る立場にあるとして、そうすることが必ずしも不経済であったり不可能でもないと思われると指摘しています。 この決定に対して弁護団は同日声明を発表。「今度こそ国は、司法の判断の重みを真摯(しんし)に受け止め、本件干拓事業の中止と排水門の開放、本件干拓事業の影響を取り除くという観点を中心に据えた真の有明海再生に踏み出すべく、歴史的な仮処分決定にふさわしい歴史的英断をなすべきである」と強く求めました。ノリ養殖漁業者の川崎直幸・佐賀県原告団長は「明日はどうなるのか、先々不安になる海の状況です。水門を開放し、もとの豊かな海を取り戻していきたい」と語っていました。 同地裁前に「農水省を再び断罪」「水門開けよ!」などの垂れ幕がかかげられ、集まった原告漁民や支援者から「また、勝ったぞ」「よおし」と喜びの声がわきあがりました。 |