2005年1月20日(木)「しんぶん赤旗」

ライス氏

孤立からの回復狙う

単独行動主義は堅持


 【ワシントン=山崎伸治】米国の次期国務長官に指名されているライス米大統領補佐官は十八日開かれた米上院外交委員会での指名承認公聴会に出席し、外交全般にたいする自身の考え方をのべ、事実上、第二期ブッシュ政権の外交課題を明らかにしました。

 ライス氏はこのなかで、外交によって米国に有利な世界の力関係をつくりあげるときだと強調。イラク戦争の強行で生じた同盟国との亀裂や米国の外交的孤立の回復をはかる考えを示しました。

 ライス氏は「直面する課題は共同で解決する」「どの国もより安全でよりよい世界を単独で築くことはできない」と強調、欧州諸国、日本、韓国、オーストラリアなどと協調を図ることを前面に押し出しました。

 同時に、「行動の価値を測る本当の基準は効果的であるか否かであることも決して忘れない」とのべ、同盟国と意見がわかれたときには米国が単独で行動する単独行動主義をやめる考えのないことを示唆しました。

 公聴会での最初の発言のなかでライス氏は、民主主義を拡大し自由を確保することが米外交の目標であると強調。第二次世界大戦後の五十年間を「自由の大義」をめぐるソ連・東欧諸国とのたたかいと描いたうえで、「今日、直面する課題はそれに劣らず、容易ではない。米国と自由世界は再び、憎悪のイデオロギー、専制、恐怖、絶望に対する長期にわたるたたかいに乗り出している」とのべました。

 米国の外交課題として、(1)民主主義諸国の共同体の団結をはかり、共通の価値観と法の支配に根ざした国際体制をつくる(2)安全保障に対する共通の脅威とたたかい、恐怖の根源となる絶望を軽減する(3)世界中に自由と民主主義を広める―の三つを示しました。

 ライス氏は、国際関係の基準である民族自決権と各国の主権の尊重について触れず、「世界には専制支配の前線基地が残っている」として、キューバやミャンマー、北朝鮮、イラン、ベラルーシ、ジンバブエを名指しで非難、これらの諸国の体制変革を促進していく考えを示しました。

 ライス補佐官はパウエル国務長官の後を受けて第二期ブッシュ政権の国務長官に指名されました。議会での指名は確実視され、米国初の女性アフリカ系国務長官になります。一期目ブッシュ政権で安全保障担当の大統領補佐官に任命されたライス氏は、9・11同時多発テロ後、同政権の先制攻撃戦略を理論面で支え推進しました。



もどる
日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ

著作権についてリンクについてメールの扱いについて
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7  TEL03-3403-6111 FAX03-5474-8358 Mail:info@jcp.or.jp