2005年1月20日(木)「しんぶん赤旗」

英兵イラク人虐待で軍法会議

写真公表、非難広がる


 【ロンドン=西尾正哉】イラク駐留の英軍兵士がイラク人を虐待していたとされる写真が軍法会議で明らかになり、英国社会に憤りが広がっています。

 明らかになったのは床に倒れ両手を縛られた男性を英軍兵士が殴りつけている写真など二十二枚。ドイツ北西部オスナブリュックの英軍基地で十八日から始まった軍法会議で公表されました。

 英各紙十九日付は、これらの写真を一面に掲載し、英軍を非難しています。タイムズ紙は、横たわる裸のイラク人の上に立つ兵士の写真を掲載し「英軍の恥だ」との見出しで報道しています。

 ガーディアン紙は同じ写真を含め三枚の写真を掲載、「英国の“アブグレイブ収容所”」での「ショッキングな写真が明らかになった」と大見出しで報道し、虐待で大問題となった米軍の収容所になぞらえました。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、「虐待容疑はイラクに関する論争に再び火をつけ、総選挙まで四カ月もないとされるなかで中核的な労働党支持者を反対に回すであろう」と指摘しています。

 軍法会議で被告になっているのは、英陸軍王立フュージリア連隊所属の三人。二〇〇三年五月、イラク南部バスラ近郊でイラク人収容者に暴行を加えたとして、暴行、虐待など九つの罪に問われています。

 被告側の弁護士は“イラク人が食料を盗んだので上官から厳しく扱えとの命令があった”と述べました。三人のうち一人は殴打などの容疑を認めましたが、他の二人は否認しています。

 英軍のジャクソン参謀総長は十八日夜の会見で、いかなる虐待も「きっぱりと非難する」と表明。イラクに従軍した兵士の「きわめて少数のもの」に虐待の容疑があるにすぎないと弁明しました。



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