2005年1月21日(金)「しんぶん赤旗」

家計も経済も壊す
小泉内閣の大増税路線

小池政策委員長(消費税増税阻止闘争本部長)にきく

反対の共同へ広がる条件


 小泉内閣の大増税・大負担増路線について、日本共産党の小池晃政策委員長(消費税増税阻止闘争本部長)にききました。


「老いも若きも」

 ――小泉政権の来年度予算編成をめぐり、商業メディアも「本格増税路線」「老いも若きも負担増」と報道しています。

写真
小池晃政策委員長

 「路線」という言葉が意味しているように、消費税の大増税までにらんだ連続的な大増税・大負担増計画だということが特徴です。

 小泉内閣(二〇〇一年四月発足)のもと、次々と負担増が国民を襲っています。〇五年度と〇六年度の二年間だけをみても、年金課税の強化などすでに決まっている負担増は約三兆円。これから決めようとしている定率減税廃止などによる負担増は約四兆円。あわせて約七兆円もの負担増となります。なかでも定率減税の縮小・廃止による増税(半減で約一兆六千五百億円、全廃で約三兆三千億円)は、一九九七年に消費税を3%から5%へ引き上げ(約五兆円の増税)て以来の規模です。

 例えば、共働き、子ども一人の三人家族、年収が四百八十万円という世帯では、小泉内閣の下ですでに実施された負担増が年約四万四千円、今後実施予定で約二万九千円。さらに今度計画されているのが約三万六千円ですから、合計で十一万円近い負担増になります。

 年金暮らしで、年収三百万円の高齢者夫婦の場合は、すでに実施された負担増が約六万九千円、今後実施予定が約三万二千円、計画中が約五万二千円で、合計して十五万円を超える負担増になります。

 ぎりぎりの生活を強いられているなか、深刻な打撃になることは間違いありません。

図

橋本不況上回る

 ――経済人や自民党幹部などからも、定率減税の縮小・廃止は景気に悪影響を与えるという声があがっています。

 テレビ番組で、ある大手小売業のトップも、定率減税の縮小・廃止について、“今こんなことをやったら、庶民の財布のヒモがしまってしまうから反対だ”と言っていました。

 みんなが思い起こすのは、九七年の橋本内閣時代、消費税増税など九兆円負担による「橋本不況」です。

 九七年当時の家計の収入は、全体で毎年五兆円から六兆円増えていました。今回は、三年間で家計収入が十二兆円減っている時期の七兆円負担増です。下り坂をおりているときに、後ろから背中を押すようなやりかたです。

 橋本大失政を上回る打撃を日本経済に与えることになると思います。

 ――定率減税の廃止にとどまらず、財界をはじめ、政府・与党が〇七年度消費税増税へ向けて走り出しています。こういう庶民増税に道理はあるのでしょうか。

 まったく道理はありません。今回の予算編成にあたって、政府の閣議決定は、財政状況が極めて深刻(公債依存度44・6%)だから、財政構造についても「思い切った見直し」をしなければいけないといっています。しかし、肝心なところに手をつけようとしません。

 税金の集め方でいうとこの間の特徴は、大企業や高額所得者に大減税を続けてきたということです。九七年度と〇四年度を比べてみると、減税によって七兆六千億円の減収(国の一般会計分)になっています。これとは別に、不況による減収もあります。

 これだけの減税をしておきながら、財政構造を見直すといって手をつけたのは、所得税の定率減税だけです。大企業や高額所得者への大減税には一切手をつけていません。

 税金の使い方では、無駄遣いにメスが入りません。〇五年度の政府予算案をみると、関西国際空港に二本目の滑走路をつくる。一本の滑走路で十六万回の発着能力があるのに、十万回しか利用されていない。それでも新たな滑走路をつくる計画です。八ツ場(やんば)ダム計画も治水上の必要性はほとんどなく、関東地方の水不足はほとんど解消したのに、巨大ダムをつくる計画です。

推進の自公民

 ――政党の態度の違いも鮮明ですね。

 一月九日放送のNHK各党インタビューでも、自民党の武部勤幹事長は定率減税の縮小・廃止については「元に戻すのは理解してもらいたい」といい、公明党の神崎武法代表は「今年あたりから消費税(引き上げ)の議論を開始しなければいけない。二〇〇七年度を目標に結論を出さざるをえない」と消費税増税を宣言しています。

 一方、民主党の岡田克也代表は「定率減税を元に戻すこと自身は増税路線だと考えていない」と言っています。「今年やるべきかどうかはもう少し慎重に考えるべきだ」といいながら、増税路線そのものは批判できません。消費税増税では、民主党が旗振り役となっているだけに、政府の増税路線を批判できないという状況です。

 「保守二大政党制」づくりという中で、大増税路線に正面から立ち向かうのが日本共産党だけというのが現状です。私たちのたたかいこそが、国民の願いを実現するという自覚をもってがんばりぬきたいと思います。

批判や懸念の声

 ――共同が広がる条件も生まれていますね。

 「しんぶん赤旗」に、政府税調委員でもある主婦連会長の吉岡初子さんが登場され、主婦、消費者の立場から、不公平で生活を破壊する消費税増税に反対すると明言されました。

 消費税をなくす全国の会のパンフレット『エッ2007年に大増税! 消費税 年金・社会保障のためって本当ですか?』の注文は合計七万部近くとなり、二万部増刷するそうです。消費税廃止各界連絡会がよびかけた昨年十二月二十四日の宣伝・署名統一行動も、ほぼ全国的な規模となりました。四十四人が団地の千五百九十軒を訪問、二時間で消費税増税反対署名を六百七十三人分集めた(昨年十一月下旬、東京の北区各界連)という経験もあります。

 日本共産党の党組織が取り組んでいる消費税増税反対署名でも、北海道で七万五千人分集め、兵庫県では〇五年度中に人口の10%をめざす署名活動をしています。

 景気減速が鮮明になってきているだけに、さまざまな立場の人たちが定率減税の縮小・廃止にたいする批判や懸念の声をあげています。和歌山、高知両市議会などでは定率減税廃止反対の意見書が可決されています。思い切って反対の共同を広げていくことが、もう一回り大きな消費税増税反対の世論につながり、大増税勢力を追い詰めていくことにもなります。

 打って出ていけば本当に面白い状況、大きくたたかいが広がる状況が生まれてきています。国会の内外で、大増税反対の世論と運動を大きく広げていきましょう。

表




もどる
日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ

著作権についてリンクについてメールの扱いについて
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7  TEL03-3403-6111 FAX03-5474-8358 Mail:info@jcp.or.jp