2005年1月31日(月)「しんぶん赤旗」

自民、民主 消費税増税で競い合う

社会保障見直しで呼応

「3党合意」具体化の一歩


 年金一元化を含めた社会保障制度の見直しをめぐって、自民、民主両党が呼応する動きをみせています。国会論戦では、社会保障制度の財源に消費税増税をあてる議論が急浮上しています。

“前向き発言”だ

 「民主党の幹事長が前向きな発言をしているのだから、重く受け止めたい」。自民党の武部勤幹事長は二十八日の記者会見で、民主党との間で社会保障制度全般の見直し協議に入れる手応えをこう指摘しました。

 自民、公明両党と民主党は昨年五月、年金改悪法案の衆院通過で合意した際、社会保障制度全般を見直すとした「三党合意」を結びました。ところが、未納問題をめぐる混乱や年金改悪法案への国民の批判の強さから、民主党が態度を転換。法案反対にまわり、「三党合意」も事実上ほごにしてきた経緯があります。

 その後も民主党は、年金改悪法の問題点を政府・与党が認めなければ、社会保障制度全般の協議には応じられないという「対決」姿勢をとってきました。

 しかし、二十七日の衆院予算委員会は違いました。民主党の川端達夫幹事長は「大きな課題に手をつけないといけないという認識では一緒だ」としたうえで、小泉純一郎首相が二十四日の衆院本会議で「社会保障全体の負担と給付を考える際、消費税の活用は当然検討の対象となる」と答弁したことを、「半歩か一歩踏み込んだもの」と評価。これに「半歩どころか大きく踏み出している」と応じた首相の答弁を聞いて川端氏は、同委員会で年金問題の集中審議を開くよう求めたのです。

 小泉首相の消費税増税の答弁は、民主党の岡田克也代表が「年金保険料が15%を超えないために消費税の活用が避けて通れない」と増税を迫ったことに対するもの。「三党合意」は社会保障制度全般の見直しで「税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直し」を行うとしており、小泉首相と民主党との呼応は、「三党合意」具体化の一歩といえます。

在り方懇にあわせ

 与党にとって民主党のいう年金問題の集中審議は「政党間協議の呼び水」(自民党国対幹部)という位置付けです。

 細田博之官房長官のかけごえで昨年七月に始まった年金、介護、医療の一体的見直しを議論する「社会保障の在り方に関する懇談会」(在り方懇)の協議は、二月十六日で六回目を数えます。財源に消費税増税をあてる議論が出ている在り方懇の動きに、政党間協議も急いであわせようとしているのです。

 民主党が態度を“変化”させたことについて自民党の武部幹事長は「『三党合意』を結んでいるし、連合も(民主党に)与党との協議をすべきだと促している」(二十八日の記者会見)と説明。「在り方懇」には連合の笹森清会長、日本経団連の西室泰三副会長も参加し、国会に政党間の協議機関を早急に立ち上げるよう求めています。

 民主党の川端幹事長は二十八日の記者会見で、「(年金問題の共有認識が)形成されていくならば、個別の課題について議論することはやぶさかではない」と強調。社会保障制度見直しの小委員会の設置で協議の余地のあることを示しました。



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