2005年2月18日(金)「しんぶん赤旗」 改憲めぐる多数と少数CS放送「各党はいま」志位委員長が答える日本共産党の志位和夫委員長は十六日、CS放送・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、通常国会序盤の論戦や憲法改定の動きなどについて、朝日新聞企画報道部の根本清樹記者のインタビューに答えました。 旗幟(きし)鮮明に論戦
――国会序盤を終えての評価は。 改憲の地ならしを許していいのか、大増税路線への踏み出しを許していいのか。平和、暮らしの根本にかかわるこの問題を私たちは二つの大争点として位置づけて論戦してきました。この旗印を旗幟鮮明に立てたのは日本共産党だけでしたが、相手側の道理のなさが明らかになりつつあると思います。 ――国会は低調とみるのか。 増税は、民主が主導し、首相が「検討」と踏み込む。憲法の問題でも「自衛軍を明記せよ」と(民主党元代表の)鳩山さんがいい、首相が「賛成だ」という危険なすりあわせの議論がおこる。「二大政党」が二つの争点で同じ流れの中にいることが、大事な問題を見えづらくさせています。 ――憲法をとりまく状況をどうみるか。 たしかに国会の中だけみれば改憲論が多数になっています。しかし国民の中では九条改憲を是とする人は少数です。また世界やアジアをみると「戦争のない世界」をめざす史上空前の流れがおこっている。九条が先駆的にしめした理想に世界が接近しつつある。改憲論は、実は孤立した時代錯誤の逆流です。 ――与党は衆参憲法調査会の最終報告書で改憲の方向性を出したいとしている。 特定の方向性を与えないというのが、憲法調査会を設置したときの規程です。憲法調査会は、規程どおり「経過と結論」の報告書を出したら、解散して任務を終えるべきです。 二つのハードル――国民投票法案と今後の展望については。 なぜいま持ち出すのか。その動機は、九条を変えるという、よこしまな目的以外にありません。この第一歩を許さないことが大切です。 改憲勢力は、自らの目的を果たそうとすれば、二つのハードルを越えなければならない。一つは、衆参両院で三分の二以上をしめて改憲の発議をすること。これは成案をまとめなければならない。彼らの内部にも矛盾はある。これは大仕事です。 次に、国民投票が待っている。国民の過半数の支持を得られなかったら(改憲)できないのです。いま「九条の会」の賛同者が千人をこえ、地域の会が千をこえ、大きな勢いで広がっている。これは相手にとっても大変なハードルです。しかも仮に失敗したら逆に改憲派が命とりにもなる痛手をこうむることになる。 国民世論の大多数が憲法改定を許さない立場にたち、声をあげれば改憲は阻止できる。私はその条件は大いにあると信じています。 ――自民、公明、民主は三党三様の改憲論議だが。 自民党が昨年十一月に出した「改憲草案大綱」には彼らの本音がすべて盛り込まれています。一番の焦点は九条の取り払い。米軍と一体になって海外での戦争にのりだす国づくりが最大の眼目です。同時に、国家権力が国民の自由や権利をしばりつける項目がずらりと並ぶ。近代の立憲主義を否定した時代逆行そのものです。こういう線で憲法全体を書き換えすれば、国民の多数とのはげしい矛盾を広げざるをえないでしょう。 注・立憲主義 人権保障のため権力を乱用しないよう政治権力に制限をかけ、憲法にのっとった政治を行わせること |