2005年3月2日(水)「しんぶん赤旗」

民主と社会保障協議へ

首相、年金先行に応じる


 小泉純一郎首相は一日の衆院予算委員会で、与党と民主党の三党合意に基づく社会保障制度の与野党協議に関し、「年金一元化から先に議論していい。何の異論もない」と答弁しました。民主党の岡田克也代表が「まず年金制度の抜本改革から議論すべきだ」と要求したのに応じたものです。

 三党合意は、改悪年金法の衆院通過(昨年五月)に際し、自民、公明、民主三党が、二〇〇七年三月を目途に社会保障制度について「税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行」うとしたもの。消費税を社会保障制度の財源とすることが前提となっています。


解説

消費税増税急ぐ 「2大政党」

 小泉首相と民主・岡田代表のやりとりで、自公与党と民主党の社会保障制度見直しに関する協議が実施の方向へ動き出しました。年金の議論から始めることに小泉首相が同意し、民主党が協議に応じる条件の一つがクリアされたのです。

「三党合意」履行へ

 「三党合意」は社会保障の財源を口実に消費税率引き上げに道を開く内容です。しかし民主党内では、菅直人前代表の年金未納をめぐる混乱や改悪年金法の国民の反対の強さから合意を否定する声が強く、与党との協議に乗れずにいました。

 これにたいし、与党は自民・民主両党が二〇〇五年度予算案の採決日程に合意し、審議にメドがついた二月下旬から、民主党に協議のテーブルにつくよう呼びかけを強めはじめました。予算の衆院通過後に民主党に協議を申し入れ、一週間程度の期限で回答を求めることにしています。

連合の突き上げ

 一方、民主党の支持団体の連合は、昨年四月から日本経団連と一体に社会保障の「一体的改革」を主張。民主党にたいして、与党と早急に協議を始めるよう突き上げていました。そのため民主党は「何とか(協議を)前に進めたい思いで議論してきた」(二月二十三日の党首討論)のです。

 合意当事者の岡田氏は一月二十四日の衆院本会議で、「改革の方向性について合意がないまま議論しても成案を得られない」とのべ、消費税の活用を議論対象とすることなどの認識を首相にただしました。消費税増税の議論を民主党ペースで始める思惑もありました。

 昨年四月に国会提出した民主党の年金案は、年金目的消費税を創設し、二〇〇七年度から3%で導入するもの。これは政府・与党の税制大綱の方向性とも一致します。首相が「(平成)十九年度実施するのにいまから準備しなきゃ間に合わない」(二十三日)と協議を急がせるのも、民主党の増税案と二年後の実施を見越しているからです。

 自民党でも歳出入改革を話し合う財政改革研究会で消費税率増をにらんだ検討が始まり、「二大政党」一体で国民負担増に追い打ちをかける消費税増税の議論が進められようとしています。

 (古荘智子)


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