2005年3月2日(水)「しんぶん赤旗」
米国のBSE対策は、検査体制は?
〈問い〉 米国労組の食品検査支部議長が「危険部位が紛れる恐れ」と告発していると知り、米国のBSE対策がいっそう不安になりました。米国の検査体制はどうなっているのですか? (東京・一読者)
〈答え〉 日本のBSE対策は、と畜前に全頭検査を行い、BSE検査で問題のない牛だけをと畜します。と畜段階では、すべての牛から危険部位(脳、脊髄〈せきずい〉、眼球、脊柱、扁桃〈へんとう〉、回腸遠位部など)を除去し、その危険部位は、焼却処分として、動物の飼料にはならないようにしています。死亡牛のBSE検査も行っています。
これに対して、米国のBSE対策は、年間3500万頭の牛のと畜を行っているのに対して、最大限20万〜27万頭のサーベイランス検査(検査率0・7%)を行うだけで、ほとんどの牛は無検査でと畜場に入ります。と畜場では、危険部位の除去は、30カ月齢以上の牛だけで、その月齢判別は、牛の歯の生え方によるといったもの。30カ月齢未満の牛は、扁桃と、回腸遠位部の除去がされるだけです。
ですから、30カ月齢未満の牛の危険部位は、食品への使用も可能となっています。
除去された危険部位は、焼却されることはなく、牛以外の豚や鶏などへの飼料向け肉骨粉の材料とされています。
飼料工場では、牛と豚鶏向けの飼料製造ラインは、区分されておらず、牛向け飼料に危険部位を含む肉骨粉が混入することも可能性として否定できません。
米国では死亡牛のBSE検査も行われていません。
さらに問題であるのは、米国では、この30カ月齢以上の牛の危険部位の除去もまともに行われていないという事実が、米政府職員連合労組傘下の食品検査支部全国評議会の議長が米国農務省に提出した告発文書で明らかになったことです。この文書では、と畜場で30カ月齢以上の牛の識別が行われておらず、その結果、その先の行程では、従業員が、多数の部位が危険部位として除去されるべきことを知ることができず、危険部位が食品供給に入り込んでいるとしています。
ただでさえずさんな米国のBSE対策は、その対策さえ守られていません。(倉)
〔2005・3・2(水)〕