2005年3月12日(土)「しんぶん赤旗」
人権擁護法案 手直しされたが?
〈問い〉 人権擁護法案が手直しで再提出されることになりましたが、どんな問題点がありますか?(大阪・一読者)
〈答え〉 人権擁護法案で設立される人権救済機関は、ほんらい、国民に対する人権侵害に対し、裁判所とは別に救済機関をつくって迅速・的確に対処することが目的です。
国連は、その機関を実効あるものとするために、「国内人権機関の地位に関する原則」で政府からの独立をきびしくうたっています。日本政府は国連人権委員会から、刑務所や入国管理官署での人権侵害に有効に対処できていないとして、政府から独立した救済機関を設置するよう勧告されていました。ところが、2003年に提案された人権擁護法案は、国際社会の要請と国民の願いに全く逆行するものでした。
(1)救済機関が法務省内の一機構とされ、政府から独立していないこと。
(2)もっとも救済が要請されている刑務所や入国管理官署を扱う法務行政や捜査、留置業務を扱う警察など、公権力による人権侵害を除外していること。
(3)報道による過剰取材やプライバシー侵害への対処を口実に、政治家の疑惑追及など、取材・報道の自由、国民の知る権利が奪われること。
(4)「人権」や「差別」についての明確な規定なしに、「差別言動」への対処をうたい、国民の表現の自由を侵害する危険があること。
―などで、国民の批判をうけ廃案となりました。
ところが、政府・与党の手直しは、報道規制の条項は凍結し、解除には別途法律を要するなどというもので、報道の自由を脅かすことの歯止めにはなりません。公権力による人権侵害救済の実効性もないものです。日本共産党は、人権擁護法案の再提出に反対します。人権救済機関は、公権力や大企業の人権侵害を救済することを中心に実効ある活動ができるよう、政府から独立し、人権擁護に実績のある専門家やスタッフを配置することなどが必要です。(光)
〔2005・3・12(土)〕