2005年3月13日(日)「しんぶん赤旗」

韓国が猛反発

つくる会教科書 また侵略美化


 韓国の市民団体が十一日、日本の文部科学省の検定用に提出されている、「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学校歴史教科書改訂版の内容を公表し、「日本による朝鮮の植民地支配と侵略戦争を美化するものだ」と厳しく批判しました。

 韓国政府は「遺憾の意」を公式に表明。百二人の同国国会議員でつくる「正しい歴史教育のための議員の会」は、日韓両国政府の呼びかけで決まった「二〇〇五年、日韓友情の年」が、このままでは「見せかけの展示行事になる」と警告する声明を発表しました。

 教科書の内容を公表したのは「アジア平和と歴史教育連帯」。二〇〇一年に「つくる会」の歴史教科書が検定合格となった際、日本、中国、東南アジアの市民団体と連帯しながら運動を展開した「日本の歴史教科書を正す運動本部」を改組した団体です。

 十一日の記者会見で「改定版は表現が軟らかくなった部分もあるが、韓国を見る視点はまったく変わっていない」と指摘。一八七六年に日本が武力による脅しをかけて朝鮮を「開国」させてからの内政干渉を「朝鮮の近代化を援助した」としている部分や、一九一〇年以降の植民地支配でも日本が「近代化に努めた」としている部分を例にあげました。

 外交通商省の李揆亨(イ・ギュヒョン)スポークスマンは十一日の記者会見で、「依然として自国中心主義の史観に立ち、過去の過ちを合理化し、近隣諸国の歴史をおとしめている」として、「今後、政府レベルで対策チームを構成して必要な措置を準備する」と言明しました。

 また「日本の多くの生徒の親、知識人、市民団体が日本の良識を守るために努力している」として、「韓日の市民団体の連帯チャンネルの多様化を支援する」と表明。〇一年に「つくる会」教科書が深刻な外交問題となったことを受けて〇二年に日韓両国政府が設置した、両国の学者からなる日韓歴史共同研究委員会の役割に期待する考えも示しました。

 「正しい歴史教育のための議員の会」は同日の声明で、「急速に右傾化する日本政界の一部がその背後にある」と指摘。「歴史の記述は過去に対する現在の観点であり、来るべき未来への暗示だ」「アジアの平和と発展のために日本の自省を求める」と訴えました。(面川誠)


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