2005年3月16日(水)「しんぶん赤旗」
特高が戦後、国会議員になったの?
〈問い〉 特高が戦後、復権し、中には国会議員にまでなったと聞き驚きました。本当ですか? 名前もわかれば教えてください。(京都・一読者)
〈答え〉 特高警察関係者で戦後、国会議員となった人物は『特高警察黒書』(新日本出版社、77年発行)や最近出版された『告発・戦後の特高官僚―反動潮流の源泉』(柳河瀬精著、日本機関紙出版センター)に掲載されています。前者は警察関係者もふくめ63人、柳河瀬氏は54人の名をあげています。
この中には、敗戦までの11年間に内務省警保局長だった14人中7人がふくまれます。警保局長とは、全国の特高のいわば直接的指揮官です。『特高警察黒書』によれば、7人在任中の弾圧は次のようなものです。
(カッコ内は戦後の役職)
▽唐沢俊樹(岸内閣法相) 労農救援会、エスペランチスト同盟、プロレタリア科学同盟の弾圧 美濃部達吉著書発禁、35年の1年間で共産党員・支持者を1772人逮捕、大本教や日本労働組合全国協議会弾圧。
▽大村清一(鳩山内閣防衛庁長官) 日本政治経済研究所や、ひとのみち教団弾圧。
▽山崎巌(池田内閣自治相) 人形劇団プーク、生活主義綴方教育、京大俳句会弾圧、春日正一、酒井定吉、岡部隆司ら共産主義者を投獄。
▽橋本清吉(衆院議員、三重) 治安維持法全面改悪、雑誌『機械工の知識』、俳句・漫画グループの弾圧、「企画院事件」で勝間田清一、正木千冬、岡倉古志郎、川崎巳三郎らの投獄、御国教などの宗教弾圧。
▽今松治郎(衆院議員、愛媛) ゾルゲ事件、太平洋戦争開戦にともなう非常措置弾圧、松尾鉱山朝鮮人労働者や短歌グループの弾圧。
▽町村金五(田中内閣自治相、信孝現外相の父) 創価学会、第七日基督再臨団などの宗教弾圧、一連のいわゆる「横浜事件」の弾圧、『改造』『中央公論』を廃刊に追い込む。
▽古井喜実(池田内閣厚相) 高倉輝、松本正雄、美作太郎、三木清、塩谷アイらの投獄をはじめ庶民にも弾圧を拡大。
特高官僚は、これらの権力犯罪にたいする謝罪や反省もなく、戦後も政治の中枢に居すわったのです。(国会議員になった特高官僚名は次回掲載)(喜)
〔2005・3・16(水)〕