2005年3月19日(土)「しんぶん赤旗」

結論は消費税の増税

あれこれ理由つける小泉内閣

大金持ちと企業は減税


 小泉内閣は、あれやこれやの理由をつけて、消費税増税を正当化しようとしています。国会論戦では、定率減税縮小・廃止の問題と絡めて、経済閣僚から所得税の役割低下を追認し、消費税増税に誘導する発言まで飛び出しています。

 (山田英明)


グラフ

減税の対象は

 国の税収を項目別に見ると、所得税と法人税は右肩下がりの傾向。逆に消費税は、右肩上がりです。(図)

 所得税収と法人税収が低下傾向となっているのは、不況による企業の減収、リストラ・賃下げによるサラリーマンの所得減が響いているだけではありません。政府による大企業・大金持ち減税が影響しています。

 法人税は、一九八四年以降43・3%だった税率が、九八年には34・5%に下げられ、さらに九九年の定率減税実施で30%に引き下げられました。

 所得税は、七四年当時75%だった最高税率が段階的に下げられ、八九年には50%、九九年の定率減税実施では37%にと、七四年当時の半分以下にまで下げられています。

基幹税の否定

 所得の多い人ほど重く、低い人ほど軽くという税の累進制によって、所得分配の不平等を軽減してきたのが所得税です。

 政府は、最高税率を引き下げることによって、高額所得者の税金を軽減させました。このことが所得税収を低下させると同時に、“所得の多い人ほど重く”という所得税のあり方を破壊しています。

 「日本は世界でも最も所得課税が低い水準にある」「税の上では、所得再分配機能をもっと発揮せよとおっしゃるが…(中略)所得税がそういう役割を果たそうにもなかなか果たしにくいところまで来ている」――。谷垣禎一財務相は四日、参院予算委員会で日本共産党の小池晃参院議員にこう答えました。

 最高税率引き下げによる所得税累進課税の役割低下を追認し、開き直った発言です。大金持ち減税をただすことで所得税の機能回復と税収増を図ることなど、考えもしない政府の姿勢が示されました。

 政府はまた、段階的に法人税率を引き下げることで、税制面から大企業優遇を実行してきました。政府税調の石弘光会長はこう言います。

 「法人税の税収は今や、消費税より少ないよ。だから法人税なんて将来の基幹税じゃないのさ」(「日刊工業」〇四年三月二十六日付)

 狙いは、消費税を所得税に次ぐ「第二の基幹税」(〇四年三月、石会長)とし、さらにその比重を高めることにあります。

庶民だけ増税

 法人税、所得税の各税収が低下する一方、消費税収は安定的に維持されています。生活に必要なものにまで課税する消費税のこれが特徴です。

 「(社会保障財源として)消費税の活用ということも当然検討の対象になる」(小泉首相、一月二十四日衆院本会議)、

 「消費税(増税)の議論をどうしてもしなければならない」(谷垣財務相、二月二十八日、衆院財務金融委員会)など、消費税増税に向けた閣僚発言が相次いでいます。

 大企業・大金持ち減税は温存し、庶民に負担増を押しつける小泉内閣の姿勢は鮮明です。


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