2005年3月19日(土)「しんぶん赤旗」
ペイオフ解禁で預金はどうなるの?
〈問い〉 4月からのペイオフ解禁で、老後の少ない預金が、不安です。どうなるのですか? 最近の銀行は低利、手数料と、預金者をばかにしてませんか?(岡山・一読者)
〈答え〉 凍結されていたペイオフ(payoff=預金の払い戻し)制度が4月1日から全面解禁となります。今後は、銀行が破たんすると――
(1)当座預金や利息のつかない普通預金は「決済用預金」として全額保護され、定期預金や利息のつく普通預金などは、1金融機関につき預金者1人当たり、元本1千万円までとその利息等は保護されます。
(2)しかし、決済用預金以外の預金で元本1千万円を超える部分と利息は、破たん金融機関の財産の状況等を考慮して決定される率の支払いとなります。(例えば、破たん銀行に八割の資産が残っていれば1千万円を超える預金も8割は守られる)
ペイオフ制度とは、政府・日銀・民間金融機関が出資して預金保険機構を発足させ、経営が破たんしたらその保険料の積み立てから預金者にお金を返す仕組みで、1971年にできました。
ところが、80年代になって、銀行が企業などにじゃぶじゃぶお金を貸し、土地や株が騰貴、やがて、その泡(バブル)がはじけ、金融機関は不良債権を抱えます。本来、金融業界が自己責任でこの危機に対処すべきでしたが、政府は、業界の要望にこたえて、96年、預金者保護を名目にペイオフ制度を凍結し、全額保証の代わりといって、公的資金(税金)投入をはかりました。
預金保険機構によると、ペイオフ凍結中に168の金融機関が破たんし、返って来ないお金(贈与)に約18兆円、資産買い取りに約6兆円もの税金等を使いました。
いま、すすめられている「金融改革」は、銀行が株や保険も扱える複合企業化です。いろいろな仕事に手を出すだけ危険も増えるし銀行同士の競争も激しくなり、淘汰(とうた)もすすむ、そのとき、破たんしたら預金者には損失の一部を背負ってもらうというのが、今回の「ペイオフ解禁」の背景です。銀行の破たんに預金者はなんの責任もないのですから、預金を保護し、生活と営業に不利益が生じないようにするのは当然です。(喜)
〔2005・3・19(土)〕