2005年3月21日(月)「しんぶん赤旗」
イラク戦2年 世界で行動
「いま行動しなければ」 全米数百カ所
米国からの報道によると、対イラク開戦から二年の十九日、全米数百カ所で反戦平和の行動が繰り広げられました。
ニューヨークのセントラルパークの反戦集会には数千人が参加。別の三百五十人のデモ隊は、米国旗や黒い布で覆ったひつぎを担いでマンハッタン地区を四十二番街に沿って行進しました。
「血にまみれたおぞましい戦争の真っただ中にわれわれを陥れた政府をこらしめるため、ここに来た」と、モムジャンさん(25)は語りました。
タイムズスクエア近くの米軍徴募センター前でも三十六人が「米兵を帰還させよ」と要求して座り込むなど、同市各所で反戦諸団体が行動しました。
シカゴでは、約千人が市中心部を平和的にデモ行進しました。数百人の警官隊による厳しい行進ルート規制に、「戦争反対がどれだけの規模か見せたくなかったんだよ」と参加者のサイバーさんは言います。
サンフランシスコのドロレスパークで行われた集会には雨のなか数千人が参加し、市庁舎まで行進しました。
ブッシュ大統領、ラムズフェルド国防長官、ライス国務長官のお面をかぶった参加者に囲まれ、ずきんをかぶせられたアブグレイブ収容所の被拘束者の扮装(ふんそう)をした女性も登場。この女性が、デモ参加者の手から手へと移されて救い出されるパフォーマンスが見られました。
ベトナム戦争で海軍兵士として従軍し、最近になってイラク戦争への抗議を始めたばかりというマクマナスさん(54)は「これは侵略戦争だ」「ブッシュが戦争犯罪者であることは、その行動、振る舞いで自ら証明している」と述べました。七時間かけて来たというカリフォルニア州立大学のクンツマンさん(19)は「行動し、たたかわないなら、事態はもっと悪くなる」と言います。
ロサンゼルスでは、千五百人を超える人が雨模様のハリウッドを通って意気高く行進。米国旗を肩に羽織ったバークさんは、「誰かの愚かな行為のために息子を戦場に送ることなど絶対にしない」と、その思いを語りました。
首都ワシントンでも、戦争発動支持決議を採択した連邦議会議事堂前で「平和を模索し、追求しよう」と銘打った集会が行われました。
「ブレアは辞任せよ」 ロンドン
【ロンドン=西尾正哉】イラク戦争開始二周年にあたり「英軍兵士のイラク撤退」を訴えるデモと集会が十九日、ロンドン中心部で開かれ約十万人が参加しました。
この日の大行動は、戦争に加担するブレア英政権への国民の批判が衰えていないことを示しており、総選挙を一カ月半後に控えた労働党政権への大きな打撃となりました。
セ氏二〇度近くと六月並みの陽気のなか、デモ出発点のハイドパークには、子ども連れの家族や「ブレアは辞任せよ」と書かれたプラカードを持った若者などが大挙、集結しました。
デモの先頭では、イラク戦争に抗議して除隊した元英軍兵士がひつぎを擬した箱を担いで歩きます。箱には「十万人が(イラクで)死んだ」と書かれています。その箱はデモ行進の途中、米大使館前に置かれました。
参加者は「ブッシュ、ブレアこそがテロリストだ」「ブッシュよ、イラクはお前のベトナムだ」などと唱和して行進。終結地点のトラファルガー広場は、デモの参加者であふれました。
自転車でやってきたロンドン在住のノンフィクションライターのモニカさんは「ブッシュとブレアが戦争開始のためにうそをついたことは絶対認められない」「選挙はいつもなら労働党に投票しますが、今度は入れません」と言います。
英南部のサウサンプトンから来たキャサリンさん一家は、六歳と三歳の娘、夫、両親の合わせて六人で、早朝家を出ました。
「イラクから英軍は撤退すべきです。英軍が他国に行ってそこの人たちに指図すべきではありません。これまで労働党に投票してきましたが、もう二度と投票できない」と断言します。
トラファルガー広場の集会では、主催者の「戦争ストップ連合」のトニー・ベン会長が「イラク戦争は不法であり、十万人が殺されている不道徳な戦争だ。世界の99%以上の人が平和を求めている」と強調しました。
イラクの戦闘で英軍兵士の息子を亡くした男性は、「政府にだまされた。われわれの息子を戦争に動員するな」と訴え、共感の大きな拍手が起きました。
自国軍の撤退を要求 欧州各都市
【ベルリン=片岡正明】イラク戦争開始二周年を迎え、欧州の各都市で十九日、米軍のイラク占領反対と自国部隊のイラクからの撤退を求めた集会やデモが行われました。
ポーランドでは、ワルシャワの米大使館前に五百人が集まり、「米国はイラクから引き揚げよ」「ポーランド人はポーランドに帰れ」と要求しました。
イタリアでは、ローマで約一万人が自国軍の撤退を要求。スカンディナビア諸国では、スウェーデンのストックホルムで三百人、ノルウェーのオスロで四百人、デンマークのコペンハーゲンで五百人が「米国はイラクから出て行け」と要求しました。
ギリシャのアテネでは、労組が主催したデモに三千人が参加、反戦ロック・コンサートが開かれました。スペインのマドリード、バルセロナでも集会が開かれました。
トルコのイスタンブールでは、デモ参加者が米軍の収容者虐待を模した仮装などで行進。集会には、約一万五千人が参加しました。