2005年4月3日(日)「しんぶん赤旗」

介護家事サービス 山口議員の質問

はじめに削減ありき

政府関係者も「答弁はひどい」


 一日から介護保険改悪法案の審議に入った衆院厚生労働委員会。在宅で広く利用されている「家事代行型」サービスの廃止問題を日本共産党の山口富男衆院議員がとりあげ、サービス削減の中身を示さず法案を押し通そうとする重大な問題点が浮かびあがりました。

 法案は、介護保険を「予防重視型にする」ことを第一にかかげ、その具体化で厚労省は「家事代行型」介護を「原則行わない」とし廃止縮小の準備をすすめています。家事代行は「生活機能を低下させる」との理由です。

 廃止の影響が大きいのに、対象者(要支援1、同2、図参照)がどれくらいになるか、厚労省は伏せたままでした。「家事代行型」はじめ「予防重視」のサービス見直しで将来的に最大10%の給付削減効果を見込んでおり、影響者を当然推計しているはずです。この日の山口議員の追及で、尾辻秀久厚労相が初めて百五十万人から百六十万人と明らかにしました。

70・80代で利用

 法案には、軽度者向けに新しい予防サービス(新予防給付)として「介護予防訪問介護」がつくられると書かれているだけです。現行の「訪問介護」がどう変わり、家事を支えるサービスのうち何がなくなるのか、廃止の中身はまったくわかっていません。これも現場の不安の中心問題となっています。この問題でも踏み込んだ論戦となりました。

 山口議員は、実例を示しました。一人は心疾患をかかえる七十二歳の女性。軽度の利用者ですが本人が家事を行うと発作が起きて入院が必要になります。もう一人は、自分は軽度ですが疲れやすく、寝たきりの夫の介護もある八十一歳の女性。家事サービスでなんとか二人暮らしの在宅生活を支えています。

 「こういう具体例で何が見直されるのか」。声をあげ迫る山口議員。「霞が関ですべてきめられない」と答える中村秀一老健局長。「生活機能を低下させる家事援助については原則行わない」と繰り返し、具体例を示されると「専門家がアセスメント(事前調査)する」「ケアプラン(個別介護計画)をつくりサービスを受けるとき確定する」とごまかし、答えようとしません。

データ都合よく

 軽度者への具体的影響をただした他の野党議員には「質問が不適切」とまでのべ、審議軽視の姿勢を改めようとしない中村局長。山口議員は「なぜ言えないか、訪問介護をどうするかきちんと固まっていないから、例をあげても言えるはずがない。それを質問する側のほうに問題があるかのようにいう答弁はやめてもらいたい」と一喝。質問後、政府関係者が「(局長答弁)あれはひどい」と山口議員に声をかけてきたほど、はじめに削減ありきで中身を示さず廃止を押しつけようとする厚労省の非が鮮明になりました。

 生活介護ともいえる家事サービスの削減の中身が固まる時期についても「最終的には介護報酬の設定のとき」「実施の通知はかなり遅くなる」(中村老健局長)とのべました。

 軽度者への介護サービスで状態が改善されていない、として厚労省が利用している調査データ(日医総研の分析)が、施設に比べて在宅の軽度者のほうが改善がすすんでいることを分析していた調査だったことも山口議員は明らかにしました。

 都合のいいデータだけを宣伝し、国民の知りたい中身はごまかす――年金改悪で批判をあびた悪弊を繰り返す厚生官僚にたいし山口議員は「法案審議の新予防給付の一番大事なところさえ示さない。利用者、国民にとってはサービスを削られる、それだけが残って、中身は示されない。こんな審議のやり方はない」と批判しました。


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