2005年4月7日(木)「しんぶん赤旗」
社会保障に使うなら消費税アップも…
〈問い〉 社会保障に使われるのなら消費税アップも仕方がないと思うのですが?(埼玉・一読者)
〈答え〉 1989年に消費税が導入された時も、97年に増税された時も「高齢化社会のため」などと宣伝されました。
しかし、消費税導入後16年間に、社会保障は拡充されるどころか、改悪が続きました。サラリーマンの医療費は1割負担から3割負担になり、年金も削られました。この16年間の消費税収148兆円に対して、法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の税収は、この間に合計で145兆円も減りました。
不況にくわえて、大企業への減税が繰り返されたためです。消費税はこの穴埋めに消えてしまい、社会保障には回っていません。いまも日本経団連などは「社会保障のために消費税増税を」と言っていますが、これは「社会保障をよくするため」ではなく、「社会保障への企業負担を軽くするため」という意味です。消費税を増税しても社会保障がよくなる保障はまったくありません。
社会保障制度は、すべての人に健康で文化的な生活を保障するためのものです。そのためには、高い所得や資産があり負担能力が高い人には応分の負担をしてもらい、低所得者や、障害者など社会的にハンディを負った人の負担は少なくするのが当然です。
ところが、消費税は、低所得者ほど収入に対する負担割合が高く、生活に与える影響が大きい税金です。たとえば、年金が月12万円程度のお年寄りの場合、いまでも苦しい生活の中で年間7万円もの消費税を負担していますが、税率が10%になったら14万円、年金の一カ月分以上が消えてしまうことになります。
このように、消費税は社会保障の財源としてはふさわしくない税金です。社会保障の財源は、消費税増税に頼るのではなく、公共事業などのムダをなくし、大企業や高額所得者に応分の負担を求めれば、確保できます。(垣)
〔2005・4・7(木)〕