2005年4月9日(土)「しんぶん赤旗」
CS放送「各党はいま」
志位委員長が答える
改憲反対の運動広げる
日本共産党の志位和夫委員長は六日放映のCS放送・朝日ニュースター「各党はいま」に出演。郵政民営化、憲法問題などについて朝日新聞の坪井ゆづる論説委員のインタビューに答えました。
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――郵政改革についてどうみているか。
迷走、自己破たん
志位 国民へのサービスは民営化で一つも良くならない。サービス低下につながります。本当の狙いは、アメリカと日本の巨大金融資本に三百五十兆円の郵貯・簡保の資産を明け渡すことですから。反対です。
――小泉首相は「民営化が進めばより合理的になる」と言っているが。
志位 そういう説明に道理のないことが、私たちの国会質問で明らかになっています。
たとえば「民間にできることは民間に」というが、実際は過疎地から大手の銀行が撤退し、郵便局が担っている。郵便局を民営化すればこれも撤退してサービスが低下すると国会で追及したら、地方の窓口を守るため一兆円の基金をつくるという。ところが、一兆円をどこから捻出(ねんしゅつ)するのか、果たして一兆円で足りるのかという見通しもない。基金をつくるくらいなら、なぜ民営化が必要なのかという所に戻ってくる。
「民営化すれば法人税が入ってくる」ともいいますが、今の郵政公社でも国庫納付金を納める。この国庫納付金と(民営化した際の)法人税を比べたら、納付金の方が額が大きい。迷走、自己破たんです。
――国民の関心も盛り上がっていない。
志位 国民が求めていることではないですからね。小泉さんは大蔵族。銀行業界とは深い関係がある。本当の狙いを言うわけにはいかないからいろんな理屈をこねた。しかし、そのこねた理屈が全部破たんしてしまったというのが、今の到達点だと思います。
戦争参加が本質
――自民党の憲法改正要綱をどうみるか。
志位 一番の問題は、九条二項を書き換えて「自衛軍」を明記するところにあります。
戦後、九条に違反して自衛隊という軍隊がつくられた。しかし「軍隊、戦力ではない」というのが建前でした。だから「戦力ではないから海外での武力行使はできない」という縛りがある。これが九条二項です。これを外せば、海外での武力行使の縛りがなくなる。イラク戦争にも参加できるようになる。こうしたアメリカの無法な戦争に参戦するための改憲というのが本質です。
――全文改正という形になっていますが…。
志位 「海外で戦争できる国」にするには、国民を強制動員する体制が必要です。そこで要綱では「国防の責務」が出てくるし、「公益」=「国の利益」のために基本的人権を侵害できるようにしようとしている。
今の憲法は、徹底した平和主義と豊かな人権規定が結びついています。人権規定も過去の戦争の反省から生まれました。思想・良心の自由は天皇制に反対するだけで思想犯として捕まえられた反省から、言論の自由は「大本営発表」で国民を誤導した反省から、通信の秘密も検閲をやった反省からです。
憲法三六条には「公務員による拷問を絶対に禁ずる」と書いてある。憲法に「絶対」という言葉があるのはここだけです。戦前、戦争に反対する人たちを捕まえて拷問し、虐殺した。それが戦争への道を開いた。だから「絶対に禁ずる」と書いてある。戦争への道を開くため人権にも手をつけようとしているのが今回の要綱です。
私たちは改憲に反対する国会内の闘争を大いにやります。同時に、憲法を守る草の根の運動を、国民の過半数を結集する規模で広げていくことになにより力を入れていきたいと思っています。