2005年4月10日(日)「しんぶん赤旗」

日本は過去の清算を

英紙 教科書問題で指摘


 【ロンドン=西尾正哉】英紙フィナンシャル・タイムズ八日付社説は、日本の教科書問題を取り上げ、「過去に正面から向き合うことがアジアの怒りをしずめる唯一の方法だ」と指摘しました。

 「日本の責任」と題した社説は、中国で最近、日本のスーパーが襲われたり日本製品のボイコットが呼びかけられたりしているとし、これらの抗議を引き起こしている要因は、日本の国連常任理事国入りの動きと「第二次世界大戦での日本の蛮行について年々、不正直になっている学校教科書を日本政府が承認したこと」だと指摘しました。

 社説は、「中国政府が一九三一年から四五年までの中国での占領と残忍な行為について日本を無責任な態度だと非難するときに、(日本が)中国と論争しても無理がある」とのべ、中国側に説得力があるとしています。続けて、「問題となっている教科書は、強制労働と従軍慰安婦、南京での大虐殺について言い訳をしている」とのべました。

 社説は、韓国も日本の常任理事国入りと教科書問題をめぐって批判しているとし、「韓国が、新しい教科書は歴史の真実から程遠いと述べるのは正当だ」と指摘。日本が近隣諸国とよい関係を望むなら「日本はその過去を清算しなければならない」と結びました。


ベトナム党紙も教科書問題報道

 【ハノイ=鈴木勝比古】ベトナム共産党ホーチミン市党委員会の機関紙サイゴン・ザイフォン七日付は国際面で「日本と韓国、中国の外交関係の緊張高まる」との記事を、韓国の人々が怒りのデモをしている写真とともに掲載しました。

 この記事は、韓国の聨合ニュースと中国の新華社電に基づきながら、韓国と中国の政府、政党や市民の抗議の談話や抗議行動を詳しく紹介しています。そして「歴史教科書をめぐる緊張は二〇〇一年にも引き起こされた。新歴史教科書は、百二十四カ所を修正しているが、過去の日本の誤りを弁護し、美化する内容を含んでいる。教科書は二十世紀前半のアジア諸国における日本軍の占領について述べるとき、故意に『侵略』という言葉を使おうとしていない」と指摘しています。さらに「南京大虐殺を『事件』と表現し、『多くの中国人が死んだ』とのみ記している」と述べています。

 同記事はまた、「多くの専門家は日本のこの決定は北東アジア地域の平和を危険にさらす可能性があると考えている」と指摘しています。

 ベトナム共産党中央機関紙ニャンザン同日付も、韓国、中国の両政府が日本の新歴史教科書採択に抗議したことを伝えています。

 ベトナム国営テレビも七日夜のニュースで韓国、中国の抗議を報じました。


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