2005年4月13日(水)「しんぶん赤旗」
介護の原点忘れたもの
衆院委で参考人 政府案に批判相次ぐ
山口・塩川氏質問
衆院厚生労働委員会で十二日、介護保険改悪法案についての参考人質疑が行われました。十二人が参考人として意見を述べ、軽度要介護者(要支援、要介護1)の利用サービスを制限する「新予防給付」の導入、施設入所者からの居住費・食費の全額徴収という改悪案に不安や批判が相次ぎました。
野中博・日本医師会常任理事は「介護を受ける人は受益者ではなく受難者。(施設入所の)受難者に居住費や食費負担を求めるのは不適切」と発言。相野谷安孝・中央社会保障推進協議会事務局次長は「費用の抑制に最大の重点がおかれている。制度創設時の『介護の社会化』という原点を忘れていないか」と述べました。
中田清・全国老人福祉施設協議会副会長は、平均八十歳代であるデイサービス利用者の85%が現状を維持・改善しているという同協議会の全国調査を引き、そうした効果をあげている軽度要介護者を「予防給付に切り離すことに疑問を持たざるを得ない」と批判しました。
現役のケアマネジャーでもある服部万里子・城西国際大学教授は「最低限の生活を介護保険で支えているのが実態。(家事代行などの)生活援助をはずすのは歩いている人のつえを取るもの」と指摘しました。
池尻成二・労働者住民医療機関連絡会議幹事は、税制改革による課税最低限の引き下げで「元サラリーマンの厚生年金受給者の大幅な負担増が生じる」と危ぐを述べました。
日本共産党の山口富男、塩川鉄也両議員が質問。山口氏は相野谷氏に、在宅者の介護サービスの利用が限度額の四割台で五年間変わらないという問題について質問。相野谷氏は「月の負担を一万円以内におさめたいという『一万円の壁』がある。この負担を見直さないと本当に必要な介護が受けられない」と答えました。