2005年4月16日(土)「しんぶん赤旗」
小麦や大豆の作付け面積を減らすの?
〈問い〉 先日の紙智子参院議員の質問で、多くの農産物の生産目標を引き下げ、小麦や大豆は作付け面積も減らしていると知って驚きました。今こそ自給率を抜本的に上げるときと思うのですか。(茨城・一読者)
〈答え〉 わが国の食料自給率は、40%と先進国のなかでも異常に低く、政府の調査でも9割が将来の食料供給に「大きな不安」を感じ、同じく9割が大幅な食料自給率引き上げを望んでいます。
いま政府に求められるのは、自給率向上を国政の大事な柱にすえることです。しかし、政府が新たに定めた食料・農業・農村基本計画は、国民の不安や希望に応えるものではありません。食料自給率を45%に引き上げる目標の達成期限を、5年先送りしたのです。しかも、バレイショ、生乳、肉類、野菜など多くの農産物の生産目標は、前回の計画より減らされています。
紙智子参院議員は、3月31日の農林水産委員会でこの問題を批判しましたが、島村宜伸農水大臣は「意欲的な目標」だと開き直りました。
自給率が14%しかない小麦は、生産は増やさず作付面積は2万ヘクタール減、自給率4%の大豆の作付面積は1万ヘクタール減という計画が「意欲的」だというのですから、政府が真剣に輸入依存から脱し、自給率引き上げにとりくむことなど期待できません。
自給率を本気で引き上げようとすれば、国内の生産を増やすための政策が必要です。
しかし、新計画は、まったく逆を向いています。07年からは、麦や大豆など品目ごとの経営安定対策を廃止し、一部の大規模農家などに限定して助成するとしています。
そうなれば、助成を切られた中小農家は到底生産は続けられません。生産者、消費者の努力で少しずつ高まってきた大豆や小麦の自給率も後退するでしょう。大規模農家に対する助成も、農産物価格が下落し続けた場合、経営を安定させる保障はありません。「担い手」が育つどころか、地域農業が崩壊しかねません。
食料自給率向上のために今求められるのは、現に生産をになっている大多数の農家が、安定的に経営を営める方向で食料・農業政策を抜本的に転換することです。(増)
〔2004・4・16(土)〕